タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2023/09/08 ゾロ
君の欠片に触れていたい・薄氷をゆっくりと踏む・不埒な手の行きつく先
※あはんな雰囲気?


「お前おれに性欲ねェと思ってるだろ」
「えっ」

 私の話を静かに聞きながらお酒を飲み続けていたゾロがお酒を注ぎ足しながら唐突に言った言葉がしばらく脳に届かなかった。だってゾロの口から飛び出た単語があまりにもゾロに合わなくて。今なんて言った? おれに性欲がないと思ってる? 確かにそう聞こえた気がする。何度頭の中で繰り返してもやっぱりさっき聞いた言葉は変わらなくて、とりあえずずっと無視してる形になってしまってるゾロに頷いて返事をした。

「ゾロだけ裸も覗かなかったし、美人に添い寝されてもデレデレしないし、……ないでしょ?」
「そりゃ興味ねェもんは興味ねェし」
「ほらあ」

 やっぱりないじゃん、なんの話題だったの、と笑って肩を肩で小突いても私が跳ね返るだけ。面白くなってけたけた笑いながら隣に座るゾロを見上げればひとつの目が私をじっと見下ろしていて思わず頬が固まる。あれ。でも。

「……えっと、……そういうことシたことある?」
「ねェ」

 セクハラになるな、なんて思いながらもなぜか話題を広げてしまった。だってそもそもゾロがこの話題を振ってきて、それで、……それでまるでそれ以外の話題はもう受け付けないと言わんばかりの視線を突き刺してくるから、さっきまであんなに楽しく話してた内容も全部吹っ飛んで思い出せない。ゾロの答えはやっぱり性欲なんてないとしか言いようがない返事なのに、なのに、ちりちりと首の後ろが焼け付く感覚がさっきから強くなっていく。まるでゾロを危険視してるかのような体の信号に戸惑う。

「えと、……ちゅーくらいなら、したことあるんじゃ、」
「ねェよ」

 まっさらなゾロにやっぱり性欲なんて存在しないんだ、とさっきみたいに笑って肩を小突きたいのにひしひしと突き刺さるゾロの視線に耐えきれなくなって目を逸らした。

「今までおれが興味を示さなかったのと、性欲があるかないかは別の話だろ」

 どう答えればいいのかわからなくて机にそらしたままの視線をもうどこにも動かせない。ゾロの方には向けない。だって、今もまだ首が焼け焦げそうで、ゾロが私をじっと見つめているのを感じる。じり、とお尻を引き摺ってゾロからほんの少しでも遠ざかろうとしたことに自分でも気付かなかった。ぐら、と視界が揺れたかと思ったら、遠ざかるどころかぴたりと熱い体温が私の体に密着していて息を呑む。腰を抱き寄せられてしっかりと隣に引き寄せられた。肩を小突いた時と違って跳ね返らない。だってゾロの手が私の腰を手繰り寄せて離さないから。

「飲むたびにべたべたべたべた触りやがって」

 体を伝わって響くゾロの声に心臓が跳ねる。

「おれだってただの二十一の男だ、わかったか?」

 脳に言葉が行き届く前にこくこくと何度も頷いてゾロから離れようとする。のに、腰に回した手は離れない。腰に回された手が緩やかに動いてほっとしたのも束の間、するりとそのままお腹をなぞって太ももに太くふしくれだった指が触れて息を呑む。

「まあ好きな女相手だからって海賊のくせに紳士に我慢してたおれが悪いよな。お前も散々今まで好きなようにべたべたべたべた触りまくってきたんだから、おれも今から好きなようにする」

 ゾロの言葉に混乱して、は、と笑われてかさついた指が私の太ももを滑るのをただ見つめることしかできなかった。