タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2023/09/22 スモーカー
堕ち逝く惰性・あなたが好きです・拝啓、僕の好きな人
※ワンピース学園時空
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「スモーカーくんの生徒になりたい」
「やめろこれ以上厄介ごとを増やすな」
スモーカーくんの勤め先の話を聞いて本能のまま呟いた願望は一瞬で跳ね除けられた。本当に面倒そうに嫌がる姿にちょっとだけ悲しくなる。お酒の席での可愛い冗談なんだから適当に乗っかってくれたらいいのに。絶対に叶うことのない願望なのはちゃんとわかってるのに言葉にしてきちんと跳ね除けられると無駄に傷付く。ていうか厄介ってなに。私そんなに問題児してそう?
「ちゃんと良い子にするから」
「今すでに聞き分けてねェから無理だろ」
「スモーカー先生」
「やめろぶっ飛ばすぞ」
「こわい、暴力反対」
傷付いた心をどうしてくれるんだと言わんばかりに絡み酒をした結果、余計に傷付けられて挫折した。そんなに頑なに嫌がらなくてもいいのに。
「スモーカー先生モテるでしょ」
「ガキにモテてどうすんだ」
まあそれはそうなんだけど。学生時代にスモーカーくんみたいな先生がいたら最初はその強面と厳しい態度に怯えても、いつの間にか大好きな先生になってるのが想像に容易くて笑ってしまう。友達と一緒にきゃあきゃあ言って、それを鬱陶しそうにスモーカー先生に跳ね除けられて、その子どもを相手にしない姿にまたきゃあきゃあ言って。そんな青春をおくれるスモーカーくんの生徒が羨ましくて仕方がない。
「生徒たち可愛い?」
「悪さしなけりゃな」
「やっぱりいいなあ」
考える間もなく即答された言葉に心の声がぽろりと落ちてずっと面倒そうにしていたスモーカーくんが不思議そうに眉を上げた。
「私もスモーカーくんみたいな先生のこと大好きだから私のことも生徒にして可愛がって」
ぶ、と飲んでいたお酒を吹き出したスモーカーくんに汚いと非難を浴びせながらお手拭きを渡す。何急に。ちょうど机の上におつまみがなかったからよかったけど。
「お前実はべろべろに酔ってるな?」
「酔ってるけどそこまでじゃないよ」
べろべろっていうのは前後不覚で思考回路も定まらなくて呂律も回らず理性を何もかも落としてきた状態のことでしょ。私は意識もはっきりしてるし呂律だって回ってるし、気持ちよく酔っ払ってるだけでべろべろじゃない。どちらかというとさっきお酒を吹き出してしまうほど口元の筋肉が疎かになったスモーカーくんの方が酔ってるんじゃないのかな。眉間の皺をおさえながら大きくため息をつくスモーカーくんに、ほらやっぱり酔ってしんどくなっちゃったんでしょ、と納得する。お水頼もうか?と聞けば、飲まなきゃやってらんねェと返ってきて言葉通り通りすがった店員さんにさっき吹き出したお酒の空のグラスを渡しながら同じのを頼んだから酔っ払いに呆れてしまう。
「お前はおれにお前の先生になってほしいのか?」
「うん、スモーカーくんみたいな先生が良かった」
「みてェな、っつーことは別におれじゃなくてもいいんだろ」
「うーん?」
ようやくさっきの可愛い冗談に乗ってくれはじめたスモーカーくんに嬉しくなりながら首を傾げる。一緒じゃないのかな。スモーカーくんみたいな立派な先生、きっとどこを探してもスモーカーくんしかいなくって、スモーカーくんみたいな先生って言ったらもうスモーカーくんだけだし。うんうん考え込んでる間に店員さんがお酒を持ってきてくれて、なぜか私の前にはお酒じゃなくてお水が置かれてた。とりあえず飲め、と言われたから仕方なく飲むけど、私だってまだお酒が飲みたいのに。
「学生に戻りてェっつーなら別に何歳からでも学校には通えるぞ」
「うーーん」
可愛い冗談が急に現実味を帯びはじめてまた首を傾げる。なんだかちょっとそれは違う気がした。別に本当に学校に通いたいわけじゃない。ただスモーカーくんみたいな先生に可愛がられてる生徒たちが羨ましいなって、そう思って……。だから、ええと、
「……もしかして今私すごく酔ってる?」
「べろべろだな」
お水を挟んだおかげで思考回路が変な音を立ててそれた気がしたのがわかったような、わからないような。何かがおかしいことはわかったけど、それがどうおかしいのかが頭で理解できなくて相変わらず首を傾げてしまう。だけどスモーカーくんは私がおかしいと言わんばかりに頬杖をついて呆れたように私を見ていてまた考える。やっぱり私、何かおかしなことを言ってしまっているような……?
「本当におれに先生になってほしいわけでも、お前が生徒になりてェわけでもねェんだろ」
ちょっとした冗談を最初は一蹴してきたくせに今じゃ私なんかよりよっぽど現実的に考えはじめてくれているスモーカーくんに戸惑いながら言われたことを頭で繰り返す。
「じゃあもうお前が本当におれにしてほしいことはひとつだろ」
「……?」
「お前が羨むほどあの問題児たちを可愛がってるつもりはねェが、」
「……、あれ?」
ぐるぐると訳もわからず渦巻く思考回路にスモーカーくんの声が割り込んでくる。あれ、ちょっと待って。ぱち、と瞬きをした瞬間、霧が晴れるように今まで働き方を忘れていた思考回路が正常な働き方を思い出す。ちょっと待って、スモーカーくん。待って、さっきまでの私は自覚はなかったけど確かにべろべろに酔っ払ってた。スモーカーくんだって私はべろべろだって言ってた。じゃあそんなべろべろに酔っ払ってた女の戯言なんて突き詰めずに放っておいて、お願い。声を出すのを忘れて狼狽える私に気付いていないはずがないのに、スモーカーくんは言葉を続ける為の息継ぎを容赦なくする。
「お前、おれに可愛がられたいのか」
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