タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2023/12/13 年下スモーカー
はらりひらりと落ちる虚勢・短い爪に唇を落とす・拝啓、僕の好きな人


「年下の男の子とは付き合わないことにしてるの、ごめんね」

 告白の返事にしてはあまりに事務的で、ショックを受ける熱もなかった。呆然として黙り込んだおれに、話はおしまいよね、と勝手に踵を返そうとした女の腕を掴んで引き留める。まだ話は終わってねェ。おれの見た目が好みじゃないおれの内面が嫌いだとか、そういうことなら納得もする。でもただ年下だから、たったそれだけで切り捨てられるのは納得いかない。おれが未成年で、お前が大人なら年齢だけで断られるのは仕方ない。でもおれが未成年だったのはとっくの昔のことで、年齢差だって危ういと言われるほど離れてるわけじゃない。確かにお前の方が年上なのは事実だが、お互い良い大人なんだから年齢を理由にするのはおかしいだろう。

「男の子なんてガラじゃねェ」
「でも私より年下よね?」
「だからなんだ」
「お母さんにはなりたくないの。だからもう年下とは付き合いたくない」

 意味がわからなくて眉を顰める。反対に困ったように眉を垂れさせているのが見えて余計に眉間の皺を増やしてしまった。とっくの昔に成人しているのに、今この瞬間はまるで本当のガキのように駄々を捏ねているようにしか見えない。

「意味がわからん」
「……恋人として甘えられるのは好き。でも、お母さんみたいに甘えられるのはいやなの」

 納得いくまでは離さないという意志が伝わったのか諦めたようにため息をつきながらこぼされた言葉に瞬く。

「おれの母親になってほしいって言ってるわけじゃなくておれの恋人になってほしいって言ってるんだが」
「最初はそうでもどんどん変わっていくから」

 ようやく合点がいって舌打ちをしそうになった。確かにこの女は年相応に経験豊富で懐が広く大抵のことは笑って受け入れてくれる。恋人相手じゃなくても優しいんだから、恋人になれば今まで以上に愛情深くなんでも与えて受け入れてくれたことだろう。それを馬鹿な男がただ母からの無償の愛を受け取るように搾取し続けて、その愛を返してもらえないから疲れてしまった。でもそれは今までの年下の男が馬鹿だっただけだ。おれはお前に恋人になってほしいだけで、それ以外にはなってほしくない。ただの友達の距離が嫌だから一歩踏み出したのに。過去の馬鹿な男のせいで年齢だけで断られそうになっている。おれはあぐらをかいたりなんかしないのに。隠すことができないくらい気持ちが溢れたから覚悟を決めて言ったのに。

「断るなら、おれを嫌いだって言え」
「……」
「おれを振りたいなら嫌いだって言えばいい、簡単なことだ。それ以外は諦めてやれねェ」

 困ったように笑みを携えていた唇が引き結ばれて黙り込んだ姿を見て、嫌いだとは言えないんだなとわかって期待した。