タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2024/01/09 ロー
遠くて近い光・小さな自己主張・唐突すぎて心が置き去りになる
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ぷるぷるぷるぷると健気に鳴く姿があまりにも不憫で今回もまた無視ができなかった。
「だからこの時間帯は私しか手空いてないんだってば、何回言ったらわかるの?」
そうだったか?としらを切る通話相手に大きな溜息をついて項垂れる。見たことも聞いたこともない症例があったからトニー屋と話がしたい、から始まったローの電伝虫攻撃は見事に毎度タイミングが悪く私が繋ぎ役に当たっていてその運の悪さにくたびれてしまう。興味深い書物を見つけた、とロビンちゃんにかけてきた時も、知らない海の話を聞いた、とサンジくんにかけてきた時も、宝石の闇オークションが開かれるらしい、とナミちゃんにかけてきた時も、全部全部全部、当事者が電伝虫に出られずいつも私が場を繋いでいる。一回切って目当ての人間の手が空いてからまたかけなおすからと言ったこともあるけれど、電伝虫のために潜水艦を浮上させた、切ればいつまた潜水するかわからないし二度手間は面倒だろうと言い放たれてしまって反論もできなかった。それ以来、ローの目当ての人物の手が空くか、ローの船が海軍やら海王類やらに見つかって交戦してばたばたとするうちに電伝虫が切れるかするまではなぜか私とローがぽつぽつと話をするよくわからない時間があって気まずいから最近は電伝虫が鳴るたびに無駄に緊張してしまっている。仲間の為になる情報を持ってきてくれるから無碍にすることもできない。だけどローはお世辞にもお喋りが得意だなんて言えない人間だからいつもほんの少し気まずい沈黙が訪れる。ローだってきっと早く情報を共有して電伝虫を切りたいだろうに、なんでいつも間が悪いんだろう。海賊のわりに私たち一味の行動はある程度いつも変わらないから、だいたいのスケジュールはローにも教えたし、何度かこの船で過ごしたこともあるローだってそれを身を持って知っているはずなのに。
「いい加減みんなの予定覚えてよ」
「覚えてる」
「毎回私が出てるんだから覚えてないでしょ。なんでしれっと嘘つくの。それで今日の用事はなに?」
「今どこにいるか、だいたいくらいはお前でもわかるか?」
「わかるよ」
ナミちゃんに聞く前に勝手に言わないけど、と続ける前にローが自分の所在地を口にしてギョッとする。他船のキャプテンがそう簡単に言っていい情報じゃないと思う。海軍に盗聴でもされてたらどうするの。私の慌てふためきに鼻で笑ったのがなんとなく電伝虫で伝わって眉を顰める。だけどさっき聞いた所在地が思いの外私たちと近いことに気付いて眉間の皺が緩まった。
「ちけェみたいだな」
私の反応でわかられてしまったけど勝手な情報は言えなくて黙り込むことしかできない。別に今更ローが私たちに害をもたらしたりすることなんてないのは分かってるけど、航海士や船長の許可もなく一クルーが勝手に判断できるわけもないことを聞かないでほしい。
「合流できそうか?」
「……ナミちゃんに聞かないと。私にはわからないよ」
勝手に話を進めるローに釘を刺す。
「合流するほどの何かがあったの? ……変なことに巻き込まれてたりするの?」
「お前のとこの船長と一緒にするな」
「ルフィはいいの」
チッ、と舌打ちをされて首を傾げる。
「まあいい。……このクソ広い海で合流できる距離にせっかくいるんだ、別に用がなくても合流してもいいだろ」
「…………麦わらの一味になる?」
「ならねェ」
ドライだなんだの言っていたローの口から出た言葉だとはとても思えない可愛さに一瞬固まってしまったけど、ぽろりとこぼれた心からの言葉には即答されてやっぱり可愛さのかけらもないいつものローだ、なんて肩を落としてしまう。
「可愛かったから勧誘したのに」
「そんな理由で勧誘していいならお前はとっくにうちにいるはずなんだが」
「……ん?」
瞬間、ばたん、とナミちゃんが騒々しく部屋へ入ってきて思考回路が途切れる。電伝虫を置いてナミちゃんを振り返ればあからさまに不機嫌な表情でどすどすと怒り心頭に私の方へ歩いてきて何も悪いことをした心当たりもないのに思わず謝りたくなるくらい怖かった。私が意味もなく謝罪を口にするよりも早く電伝虫に怒鳴りつけたから怒りの矛先が私じゃないことに胸を撫で下ろしながら縮こまる。
「あんたいい加減私たちの目盗んでこそこそたぶらかすのやめなさないよね!!」
「チッ、今日は勘付くのが早かったな」
ンギィ!とナミちゃんが地団駄を踏んでぎょっとする。前の電伝虫の時に喧嘩でもしたのかな。言葉も出てこないくらい怒り狂ってるナミちゃんの肩をつんつんつつけばちょっと引き攣ってるけど私にはにっこり微笑んでくれて安心する。
「ロー、近くにいるんだって。合流する? 喧嘩してるならまた今度にする? でも仲直りは早い方がいいよ」
「はあ?! 合流も仲直りもしないわ!!」
ローに聞こえないようにこっそり耳打ちしたのに大きな声で否定されて目を瞬かせる。仲直り、しないの? 何で喧嘩をしてるのかはわからないけど、ナミちゃんはもちろん良い子だし、ローだって別に根は悪い人じゃないんだから、何かすれ違ってるだけでちゃんと話し合えばきっと解決すると思うのに。
「へえ、残念だ、じゃあこの手土産は無駄になるな」
「手土産?」
怒り狂ってるナミちゃんと違って飄々としてるローに、ローがたぶん何か余計なこと言って怒られてるのはわかったし藪蛇をつつきたくはなかったけど手土産が気になってしまった。だって、ローのお土産、毎回センスいいから。つい釣られちゃう。ナミちゃんだって今までお宝の情報やらお宝そのものやら色々貰ってるから条件反射で目がお金になってるし。まだぷんすこ怒ってるけど。
「おれも別に必要ねェし、光り物が好きな海王類を釣り上げる餌にでもしようか」
ちゃり、と何か金属がぶつかる音が響いた瞬間、ナミちゃんが堕ちたのがわかって肩をすくめる。賄賂渡すより普通に謝った方がいいと思うんだけど、まあナミちゃんは賄賂の方が嬉しいのかな。
「とりあえず合流はしてあげる」
ナミちゃんが電伝虫に指を突きつけてもローはふてぶてしく笑うだけでナミちゃんの血管が切れてしまわないか心配になる。怒りながらもうちの世界一の航海士はローの口頭の説明だけでどこの場所にどう行けばいいのかわかったのか合流ポイントをスムーズに決めていて邪魔しないように心の中で拍手を送った。
「でもあんた、合流したら覚悟してなさいよ。私だけじゃなくてみんながあんたのそのこそこそしたやり方に怒ってるんだから」
その宣戦布告にローが鼻で笑う二人のやりとりに首を傾げた私をナミちゃんが離すまいと言わんばかりにぎゅうっと抱きしめてくる。余計に訳がわからなくなりながらもナミちゃんの背中に腕を回して宥めるように背中を撫でた。
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