タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
← →
2024/01/28 ゾロ
誰も知らない二人だけの秘密・君を喰らわば毒まで・解けないように絡める指
▼
「まさかゾロがそんな人だとは思わなかった」
む、と眉間に皺を寄せて私を睨みつける姿はちょっと怖い。にじり寄ってくるゾロに、待て、とまるで犬にでもするように手を突き出す。さらに眉間に皺が寄ったけど臆さない。
「別に悪いことはしてねェだろ」
「悪いことは、そりゃ、してない、……けど」
私の曖昧な返事に、だろ、と満足げに眉間の皺を減らしたゾロに突き出していた手を取られて息を呑む。やばい、と思った時にはもう遅くて、引き寄せられるまま私のてのひらにゾロの唇が触れた。
ちゅ。
「ちょっ、」
ちゅ。
「まっ、」
ちゅ。
「ゾロ!」
ちゅ。
「あんだよ」
私のてのひらに唇をくっつけたまま話すせいでくすぐったくて手を引っこめたいのに、どうしたってゾロの力には敵わない。うぐぐ、と呻きながら全体重をかけたってびくともしなくて、それでも一応は私の声に反応して制止してくれてひとまず安堵した。
「だから、それをやめて、って、」
「なんでだよ」
「うひ、……そのまま喋んないでくすぐったい!」
はーなーしーて、とまた腕を引っ込めようとしても相変わらずうんともすんとも言わない。熱い吐息と唇の感触にぞわりと背中に震えが走って呻く。
「別に良いだろ。恋人なんだから」
「そ、だけど……っ」
ちゅ、とまた音を立てられて肩が跳ねたって逃げられない。言い淀めば言い淀むだけゾロが好き勝手するから早くなんとかしなきゃいけないのに、そうやって音を立てられるたびに思考回路が停電してしまう。
「ぞ、っろはそういうタイプじゃないじゃん!」
「あ? なにが」
「そ、ういう、ところかまわずちゅっちゅするような人じゃないじゃん……もう!! ストップ!!」
ゾロの唇が私の手のひらを余すことなく侵略し終えたのか、今度は手首にまで移動したから大慌てで脳で考えるまでもなく反射で言葉が飛び出た。さすがに私の大声に驚いたのか目を瞠って固まるゾロに目を泳がせる。
「……嫌なのかよ」
「い、いやとか、そういう話じゃなくない……?」
「そういう話だろ」
「なん、……うう、……なんで」
抵抗も虚しく、うちゅ、とまた手首に唇を落とされて項垂れる。
「……嫌なのか」
「……いや、じゃ、ないけど、……人がいるところは、恥ずかしいから」
重ねて聞かれてパンクした頭で答える。嫌なわけじゃない。ゾロがそういう人だって思わなかったから驚きはあるけど、好きな人にキスされて嫌なわけじゃない。だけど、恥ずかしい。だって、本当にところかまわずキスをしてくるから、そりゃ目撃もされる。私たちだけの旅じゃない。寝惚けながら起床した私に贈られるキスは早起きなサンジくんに目撃されて毎回この世の終わりかってくらい泣いて騒がれるのも寝惚けが吹っ飛んでしまうほど恥ずかしいし、お昼寝から目覚めるたびに私を探し当ててまたおはようのキスをしてくるからきゃっきゃっと遊んでいた子どもたちが一瞬静かになって私たちを見るのも恥ずかしいし、眠る為に女子部屋に引っ込もうとした直前に腕を引っ張られておやすみのキスをされるのをナミちゃんやロビンちゃんに見られるのも恥ずかしいし、そもそもすれ違うたびに髪やら手やらに唇を引っ付ける様を大人たちに見守られてにっこりされるのだって恥ずかしい。とにかく本当にすきあらば唇を私の体のどこかに引っ付けようとするゾロに、羞恥の限界が来てしまった。
「……せめて人前でしないでよ、嫌なわけじゃないけど、……恥ずかしいから」
「それじゃ意味ねェだろ、牽制も兼ねてんのに」
「え」
ちゅ、とまた音を立てられて固まる。
「これはおれのだからなってやっとかねェとすぐとられるだろ」
← →