タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2024/03/27 スモーカー
力の限り叫んだ思い・素直になれないと知っている・一緒でいい、一緒がいい
※ボツ
※先輩夢主
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「好きだ」
「ごめんね。……昔、好きなわけねェだろ、って言ってたの、実は聞こえてたんだよね……」
おれの言葉に申し訳なさそうに表情を変えて謝るから、この世が終わってしまったのかと思うほど絶望に伏して俯いた。だが、いや、待てよ。今こいつなんて言った。今のおれの言葉への返事ではなく、昔のおれの言葉への返事が返ってきたらしくぐるぐると思考を巡らせた。昔、いつだ。おれが、好きなわけねェだろ、なんてお前に向かって言うわけが、……。目まぐるしい勢いで遡っていた記憶が、がちん、とひとつの場面で固まる。おれも、固まった。
好きなわけねェだろ。
昔、馬鹿な奴らに囲まれて、吠えた記憶を思い出す。でもあれはそういう意味じゃない。おれは、いつからお前のことを好きだったのかわからないくらい最初からお前のことが好きで、お前に向かってそんな発言をする訳がない。おれがその言葉を吠えたのは、馬鹿な奴らの勘違いのせいだった。
お前が言う昔、お前はおれのことを完全にガキ扱いしてた。そりゃ上官に扱かれて地面に這いつくばってばかりいる頭の丸まった新兵はお前からすればガキにしか見えなかったのもわかる。でも、会うたびにおれの頭をじょりじょり撫でては楽しそうにそのままの距離感で話すから、だから馬鹿な連中が、お前がおれを好きなんじゃないかと聞きにきたんだ。そんなことあるわけがないのに。お前が男として意識する相手に見せる顔を見たことがないから、あんな馬鹿げた妄想を口にできたんだ。おれよりよっぽど頼りになりそうな、地位も名誉も実力もある男に褒められてお前が照れくさそうに頬を染めたのを見たことがあった。おれはお前の頬を染められたことなんて一度もない。撫で心地でもいいのか頭をひたすら撫でまわすだけだ。良くてガキ扱いか、人間ですらないペット扱い。男扱いなんか一度もされたことない。だから、あいつがおれを好きなわけねェだろと吠えて、蹴散らして、……それを聞かれていたのか。
好きな女が自分を好きなわけねェだろなんて言わなきゃいけなかったつらすぎる過去が、またおれの足を引っ張る。ふざけんなよ。余計なことを言わせたあいつらを潰し足りなかったせいでこんな目に遭ってるのか。なんでまた、同じ目に遭わなきゃなんねェんだ。
「……あれは、……お前、が、あの時、おれのことばかり散々構うから周りの馬鹿どもが茶化してきて、それで、……おれのことを好きなわけねェだろ、って、言うしかなかった、だけだ」
好きな女がおれを男として見るはずないだろなんてどうして何回も何回も自分から言わなきゃならねェんだ。あの馬鹿どもを思い出して苛立っていたせいで舌打ちがついこぼれる。目の前の女は何も悪くないのに八つ当たり気味な舌打ちに後悔して視線を移し、驚きに目を見開いた姿を疑問に思う。ぱちぱちと何度も瞬きを繰り返しておれを不思議そうに見上げるから、おれもそれが不思議でただ見つめ合う。それ、どういう表情だ。
「…………なんだ、そうだったの。ごめんなさい、何度も何度も頭を撫でるからとうとう嫌われたのかと思って、」
驚いて紡がれた言葉にこっちが驚く。だから急にお前、おれに構わなくなったのか。自分が嫌われたと思って。
「おれがお前を嫌うわけないだろう」
うれしい、と綻ぶ頬に眉を顰める。女の中でのおれへの誤解が解けたのはよかったが、今この現状については全くよくない。
「……おれは今、お前に告白したんだが」
「あ、」
忘れてた、と焦る姿はやっぱりおれのことなんか男として見ちゃいなくて悔しくなる。だがおれだって、お前の背中を守れるくらい強くなった。お前を褒めて照れさせていた男と同じ土台に立てると判断した。ずっとそういうふうに見てなかった後輩から迫られて困るのはわかる。
「今すぐに受け入れられるなんて馬鹿みたいなこと思っちゃいねェ」
今この瞬間振られる可能性を潰して返事を自分から先延ばしにする。こう言えばお人好しなお前は今すぐには返事ができなくなるだろう。
「少しずつでいい、おれのことを男として見てくれ」
眉が垂れ下がって明らかに困らせているのがわかる。好きな女を困らせたいわけじゃない。それでも、引けなかった。
「…………好きだ」
もう一度、念を押す。じっと見つめていた目が揺らいで逸らされる。さっきノーの返事を潰したからそれ以外に何を言えばいいのかわからない女は口を開いたり閉じたりして困りきっている。男としてみてくれ、なんて言いながらも上手い口説き文句なんか思いつかないから好きだと繰り返すことしかできない。何度目かの好きだ、の言葉は女の手に遮られてはじめて触れるその柔らかさに音が吸い込まれて目を見開く。驚きに見下ろした先の女の頬が、あの日見た時みたいに赤く染まっている気がした。
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