タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/03/25
※死ネタのようなそうでもないような
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W愛してくれて……ありがとう!!W
びくっ、と体が震えて跳ね起きる。全力疾走した時でさえかかない量の汗がぐっしょりとパジャマを濡らしていて、顔中も水浸しで無意識に顔を両手でこする。擦っても擦っても引かない汗に首を傾げてようやく気付く。これは汗じゃなくて涙だ。
「おは、おっと、……どうしたどうした、怖い夢でも見たか?」
止まらない涙の量に自分でも呆然として固まっている私に、もう二度と聞けるはずのなかった柔らかな声が落ちて瞬く。
「えーす?」
「おう、あんたが大好きな彼氏のエースくんですよ」
ぎしっ、とベッドのスプリングが軋んで隣に腰掛けてくれたのがわかって声のした方へ顔を向けても涙で視界がぐちゃぐちゃでよくわからない。引き攣る喉で名前を呼ぶ私を心配してくれたのか、熱いほどの体温を感じる指が私の両頬を挟んで間近で視線を合わせられた。何度か瞬けばようやく涙も止まり、合った焦点に、そばかすと真っ黒な瞳が映ってようやく聴覚だけじゃなくて視覚と触覚でエースを感じられてホッとする。二度と瞬くことのなかった目は私と目が合っているし、相変わらず燃えるように熱い体温は真冬でも冷たくならない。
「いきてる」
「……おれが死ぬ夢でも見ちまったか?」
添えられた手にびしょ濡れになった私の手を重ねて溢した言葉は間近にいるエースの耳に当然拾われてしまって口籠もる。どうして二度と聞けるはずないだなんて思ったんだろう。エースは殺したって死なないような男の人なのに、どうしてあんな夢見てしまったんだろう。あれ、どんな夢だったっけ? とにかくエースが死んでしまう夢を見て、すごくリアルで、……それで……?
寝ぼけていた脳がようやく覚醒し始めて夢が一瞬でぼやけていく。エースが死んでしまった夢を見て、いくら夢とは言え自分が死ぬ夢を見ただなんて聞くのは気分が悪くなるだろうから肯定もできずに口籠る。だけどまだきちんと働かない脳ではどう取り繕っていいのかもわからなくて視線をそばかすに散らして金魚のように口をぱくつかせるだけ。
「えっと、その、」
「泣かせてごめんな」
「え?」
熱い指が私の頬を撫でる度にじゅっと蒸発したかのように涙が拭われていく。私が勝手に見た縁起の悪い夢なのに、どうしてエースが謝るのかわからなくて戸惑う。それでも優しい撫で方に怖い夢でこわばっていた筋肉が徐々に解けて、いつの間にかエースの胸の中に抱かれて落ち着いていた。シャツ越しでもわかる熱くて厚い胸板に顔を擦り付けてあやすように背中を撫でられる。安心しきった私に、なあ、と私を抱きしめてくれているのはエースのはず。はず、なのに知らない男の人が出したような初めて聴く声色で話しかけられて瞬いた。
「夢を見て泣いてくれるほどおれを……、W愛してくれてありがとうW」
さっきまで優しく抱き寄せてくれていたエースが急に力を込めて痛いほど体を掻き抱いたからか、それとも聞いたことのない言葉のはずなのに痛いほど胸を突き刺してきたからなのかはわからないけれど、せっかく止まったはずの涙が訳もわからずぶわりと溢れて止まらなくなった。
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