タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/04/26 スモーカー
優先すべきは全部君・奇跡なら自分で起こす・片側だけが上がったくちびる
※なんでも許せる人向け


「私と仕事、どっちが大事?」
「そんなの聞かれるまでもなくお前を選ぶに決まってんだろうが」

 私の最後の質問に私の目をまっすぐ見て即答したスモーカーくんと、気まずそうに目を逸らして俯いて唇を噛むスモーカーくん。ふたりのスモーカーくんを見比べて思わず笑う。私の目をまっすぐ見つめたままのスモーカーくんが、隣で悔しそうに俯くスモーカーくんを鼻で笑って馬鹿にした。その表情初めて見た、かっこいい。

「自分の女を選ばねェ馬鹿がどこにいる」

 なァ、と低く甘い声でまた私を見たスモーカーくんに、そうだね、と頷けば隣のスモーカーくんが悔しそうに十手を握り込んでいてまた笑う。勝利を確信して嬉しそうに私を招き寄せようと腕を広げるスモーカーくんはかっこいい。だけど。

「でも私はそういうスモーカーくんを好きになったの」

 私をまっすぐ見つめるスモーカーくんが腕を広げたまま不思議そうに首を傾げて、そんな顔も初めて見るなあ、かわいい、なんて思いながら、俯き悔しがる私のスモーカーくんのところへ一気に駆け寄る。瞬間、いつの間にかあたりに静かに広がっていた煙がかっこよかったスモーカーくんを勢いよく締め付けて捕縛されて胸を撫で下ろした。なんでわかった、だの、おれの方が質問にもちゃんと答えられた、だの喚くスモーカーくんの化けの皮が剥がれて全然知らない男の人になったから、今更ながら怖くなってスモーカーくんの背中にそっと隠れる。

「そいつはお前を知らなすぎるしお前を選ばなかったんだぞ! お前ら付き合ってんじゃねェのかよ!」

 本物と偽物を見分けるためにたくさん投げつけた質問に、偽物は全て間髪入れずに答えた。私の誕生日だとか、私たちが付き合った記念日だとか、私がいつも買う好きな食べ物だとか。さっきまでそっくりだったスモーカーくんの声じゃない知らない男の人の声で怒鳴られるのが怖くて、本物のスモーカーくんの正義のコートをぎゅっと握りしめて勇気をもらいながら口を開く。

「スモーカーくんは確かに私のこと全然知らないけど、」

 ぐ、と目の前の背中が揺らいで、やっぱり私のことなんにもわかってくれてないとほんの少し唇を尖らせる。

「私がスモーカーくんのことわかってればそれでいいの。私は、海軍の仕事と私を天秤にかけて、私を選べないスモーカーくんが大好き。私を選んでくれるのは、あなたみたいな人をスモーカーくんがみんな捕まえて世界が平和になってからでいい」

 白い煙が男の人を締め上げて、きゅう、と変な音を立てながら気絶したのに驚いてスモーカーくんを見上げれば、スモーカーくんも驚いたように私を見下ろしていて首を傾げる。今日は偽物も含めてスモーカーくんの知らない表情をたくさん見れたお得な日だな、なんて思考がそれながら驚いたスモーカーくんを見上げる。

「スモーカーくんが私のこと大事にしてくれてるの、ちゃんとわかってるからそんなに落ち込まなくてもいいよ」

 そんなに固まるほど変なこと言ったかな。いつまで経ってもスモーカーくんが口を開かないから、不思議に思いながらもひとつだけ訂正する。

「あ、でも、さすがに次からは誕生日は即答してほしいな」