タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/05/15 ゾロ
猛毒にも似た君の声・奇跡なら自分で起こす・素直さがログアウト
※ボツ


「サンジくん買い出し行った?」
「あ? おれが知るかよ」
「……来ないってことは行ったかな」

 きょろきょろ視線を彷徨わせながら、いたら私の声聞こえるもんね、とひとり納得した女に眉を寄せる。なんだよ。クソコックのことおれに聞くなよ、知るかよそんなの。

「今日ゾロ船番でしょ?」
「……」

 腹のムカつきがおさまらなくて無視したのに、質問の形で投げておきながら答えなんか必要なかったらしい女は串を振り回すおれを見ながら笑うだけ。無視されたなんて思いもしてない。それが余計に腹立たしくて舌打ちをした。

「私も船残っていい?」
「……勝手にすりゃいいだろ」

 最初からそれ言えばいいだろ。なんで一回あのクソコック挟んだんだよ。別に要らなかっただろ。おれのそんな不満が伝わったのか、くすくす笑う姿に眉間の皺が深まる。

「サンジくんがいる時にそういうこと言うと私のごはんも用意してくれちゃうでしょ? サンジくんだってたまには休まなきゃ」

 ゾロもそろそろ休んだら、と指をさされた瞬間、目標数に達成したのはわかったが素直に聞くのはなんだか癪で無視をした。呆れたように笑われたが、呆れてるのはこっちだ。飯の心配の前に、そもそも船に残るのにおれの許可なんか必要ないだろ。

「良いか悪いかで答えてよ」
「……おれが良いも悪いも言う必要ねェだろ」
「なんで?」

 なんでも何もここはお前の船だ。お前が自分で乗り込むと決めた船だ。こんなに一緒に旅してきた癖にまだ自覚がねェのか。

「ゾロが答えてくれなきゃ意味ないのに」
「……あ?」
「今日一緒にいていい?って聞いてるんだから、ゾロが良いか悪いか答えてくれないとわかんないじゃん」

 ゴン、と甲板に衝撃が走って女の悲鳴が耳に届く。びっくりした、と胸を撫で下ろす女に頭を向けて睨みつけた。船に残っていい、と、一緒にいていい、は意味が全然違ェだろ。馬鹿なのかこいつ。おれの答えは勝手にしろとしか言いようがないが、それでも意味は変わってくるだろ。

「だめ? 今日は一人でいたい気分?」

 どんな気分だよそれ。わからなくて串を拾おうとした手がまた滑る。トレーニングの気分じゃなくなって、額に手を当ててため息をついた。

「ねえってば」
「……勝手にすりゃいいだろ」
「……ゾロが嫌ならナミちゃんたちのとこに行くよ」
「い、……やとか、ねェだろ、別に」

 ここにいろと言うのも、引き止めるのもおかしい気がして口籠る。だから最初から勝手にすればいいって言ってるのに、お前がごちゃごちゃ変なことばかり言うから話が進まない。おれの答えはずっと勝手にすればいいで変わらないのに。

「じゃあ今日はずっと一緒にいていい?」
「かっ、」

 勝手にすればいい、と何度目かの同じ言葉を吐き出そうとしたのに一歩近付かれて息を呑む。

「トレーニング終わり? じゃあお風呂入って。一緒にいたいけど汗臭いのはヤだ」

 さっきまで固い鉄を握り込んでいた手に柔らかい何かが添えられて思わず限界まで指を開く。だってお前、これ、折れるだろ。ぐい、と引っ張られて足が一歩前に出る。

「、ッ、……一昨日、入ったばっかだ!」
「わ、きたない。いい加減毎日入りなよ」

 必要ねェ、と喚こうとしたのにその冷ややかな目に言葉を飲み込んだ。

「ゾロが毎日お風呂入ってくれたらもっとずっと一緒にいれるのに」