タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2024/05/20 ロー
大事なものなんて他にはないよ・僕と幸せになりませんか・唐突すぎて心が置き去りになる
※お兄ちゃんスイッチ
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ざわつく路地に眉を顰めて引き返そうとしたはずなのに、その喧騒のど真ん中に見えた服装に足を止めた。騒ぎを起こすなとキャプテンのおれに散々説教していたくせに、当の本人が目立ってどうする。ハートのクルーだとバレないようにいつものツナギではなく新調したらしい洋服に身を包む姿は一般市民にしか見えない。なのになんで絡まれてるんだ。お前はおれに説教できるくらいには日頃の行いも良いはずなのに。見たところ変装虚しくハートのクルーだとバレてしまって同業者に絡まれているわけではなく、相手はどうやら一般市民の男のようで助け舟を出すべきか迷ってしまう。おれも一応変装もしてるし平和な島には似つかわしくない武器もついでだからと研ぎに出していて、ごく普通の一般市民に見えるだろうからここでおれがしゃしゃり出てしまったら余計に目立ってしまわないだろうか。怒号が飛び交っていたり少しでも乱暴な雰囲気が伝わってきたなら正体がバレようがすぐさまあの目の前の男を切り刻んで助けるが、なにせ全く暴力の気配を感じない。だがいつ本性を表すかわからないしと念の為じっと見守ることに決めた瞬間、絡まれながらも愛想良く笑っていた女と目が合う。口角を上げていた頬が安心したように緩んだのを見て、やっぱり見守らずに助けるべきだったかと後悔しても遅い。見慣れない愛想笑いから、いつもの表情になった女の口から初めて聞く単語が飛んできて固まった。
「おにいちゃん!」
「おに、……いさん、です、か」
固まった、はずなのに、なぜだかいつの間にか絡んでいた男の目の前に立っていて首を傾げた。ひ、と喉が鳴る音が聞こえて眉を顰める。別にまだ何もしてないだろ。目の前に海賊でもない普通の男が立っただけだ。自分でもいつここに立ちふさがったかわからないが。
「あ、の……おにいさん」
「お前の兄になった覚えはねェが」
ドス黒い声がまた勝手に口からこぼれ落ちて首を傾げる。ひゅっ、と息を呑んだ男を無視して後ろに庇った女にとりあえず事情を聞こうと意識を切り替える。だが、視線をこの男から外せば逃げられるかもしれないから事情を聞きたいのに目を離せない。まだこいつがなんのためにおれのクルーに近付いたのかがわからないうちは油断できない。
「……い、妹さんにひ、一目惚れ、したん、です」
「そうか、見る目があることは褒めてやる。帰れ」
脳が指令を出す前に勝手に口から出てきた言葉に驚いたが、まあ概ね変更はない。帰れ。騒ぎになるだのならないだの考えずにとっとと切り刻んで連れ出せば良かった。
「お前口説かれてたのか」
「……うーん、……うん」
なんで悩むんだ。悩むな。じゃあ愛想笑いなんかせずに睨み付けとけ。愛想笑いを本気で笑ってくれてると勘違いする馬鹿な男がこの世にアホほどいるのは女のお前の方がよくわかってるだろう。
「でも、ほら、……」
はっきり口にせずとも騒ぎになったら駄目だから我慢したのがわかって眉を寄せた。ずっと睨み付けているからびくびくし続けているのに全く立ち去る気のない男にどんどん眉間の皺が深まっていく。帰れっつったろ。
「ほ、本気なんです! 軽い気持ちとかじゃないです! 運命の人だと思ったんです!」
「知るか、帰れ、…………見るな、おいお前も出てくるな」
震える声で宣言されてもそんな頼りない男にひとかけらのチャンスも渡すわけねェだろ。おれにビビってたくせに急に、ぽ、と頬を染めた男に驚いて視線の先を追えば、遮断していた女がおれの背中からはみ出て様子を見ていた。慌てて腕を後ろに回して背中に隠す。途端にがっかりする男に一目惚れしたという言葉は嘘ではないとわかったし、ということは排除すべき敵だということもわかった。切り刻んでいいか。……、さすがにそれは一般市民相手にすることじゃないか。
「妹さんともう少しだけお話を……!」
「駄目だ帰れ」
しつこい男に何度か繰り返した言葉を吐いて、急に閃いた。そうだ、動かないこいつに帰れと言うよりおれたちが動けばいい。
「帰るぞ」
ぶん、と青い膜をあたり一面に広げて、鬱陶しい男から逃げた。
「なんで最後の最後にシャンブルズしちゃったの?! バレちゃったじゃん!」「何も考えてなかった」
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