タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/05/26 スモーカー
欲しいだけあげる・君には分かるまい・今、ここにいる
※ボツ


「おい」

 困ったような曖昧な笑みが、おれを見つけた瞬間花開いたから咄嗟に白煙で隠す。わぷ、と煙に埋もれる女を置いて、間近でそれを見たであろう軟派男を睨みつけた。

「見たか?」
「な、な、な、なに、なにを、ですか」

 目玉をあちこちに泳がせてじりじり後ずさる男の返事に眉根を寄せた。その距離にいて見てねェ訳ないだろ。おれがアレを見られるようになるまでどれだけ苦労したかも知らないくせに、ぽっと出の男がアレを簡単に享受したことが腹立たしくて眉間に皺が寄る。だからって別にこの男をどうすることもできなくて少しずつ遠ざかっていく男を睨みつけることしかできなかった。ごめんなさいと涙の滲んだ声で叫んだかと思えば一瞬で背中を見せて逃げ去った男に舌打ちをして、煙に包んだ女に向き直る。内側からぽふぽふとおれの煙で遊びながら出してと言う恋人の要望通り煙を引っ込めた。さっきみたいな満面の笑みを期待したのに、唇を尖らせておれを叱る準備が整った女が出てきて目を泳がせる。やりすぎたか? いや、だが、……お前だって困ってたし、暴力だって当たり前に振るっていないし、ただ睨み付けて追い払っただけだ。

「もう! すぐ私のことしまうのやめてよ!」
「……見られたくなかった」

 案の定怒られて視線を落とす。だが、アレを見られるのはおれだけの特権のはずだ。なのに、おれとこいつの間に挟まったせいで名前も知らない男がアレを間近で見たことが腹立たしくて煙が漏れそうになる。何を言われているのかわからないのか首を傾げて瞬く姿をじっと見下ろす。アレを見るのにどれだけの時間と労力をかけたと思ってるんだ。とっくに遠くに逃げただろう男を思い出してまた腹が立った。機嫌の治し方はまだわからねェのに。