タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/06/17 ロー
大事なものなんて他にはないよ・恋に落ちるギリギリ一歩手前・君よ永遠なれ
※冒頭若干のあはん表現
※なんでも許せる人向け
※どちらかといえば夢主が酷い
※友情出演ゾロ


「うちはドライだ、勘違いするなよ」

 そう何度も言っていたからこの関係は同盟が終わるまでの遊びなんだってわかってるのに、まるで本当の愛を目一杯降り注がれているような気持ちになるから溺れまいと毎日必死に泳いでいる。かわいいきれいだ好きだ愛してるずっとそばにいろ、びっくりするほど甘い言葉ばかりかけられて馬鹿になりそうだった。馬鹿になった途端、捨てられるのに。

「いい加減朝までここにいろよ」
「ナミちゃんとロビンちゃんと約束してるから」

 ベッドに寝転びながら私のお腹に腕を回して、あの魔女どもめ、ととんでもない悪態をつく姿に苦笑いする。だけど実際、朝までいられたら困るんでしょう? 遊びの女が、運動を終わらせたあともベッドにいたら鬱陶しいでしょう? 断られることが前提の会話が楽しいローの気持ちは全くわからないけど、ローに見限られたくない私は一生懸命甘い罠をすり抜けて現実へと帰る。

「また今度ね」
「お前はいつもそればっかりだ」

 ぶすくれた声は本当に名残惜しんでくれてるかのようで足を絡め取られてしまいそうになりながらしっかりと地に足をつける。大丈夫、わかってるから。勘違いしたりなんてしない。

  ▼▼

「おれじゃなくて彼氏と飲めよ」
「彼氏なんていないけど」

 帰る途中で見つけたゾロを酒場に連れて行ってあげた私に、もう用は済んだとばかりにとっとと帰れと言われて首を傾げる。というか私一人で帰ったら、ゾロ探すの大変だから嫌なんだけど。別に一緒に飲みたいわけじゃなく運良く見つけられたゾロが変なところへ行かないようにここにいるのに、その気遣いを無碍にされてちょっと腹が立つ。ゾロに迷子癖がなかったら帰るよ、ゾロの酒盛りに付き合えるわけでもないし。ふん、と拗ねてゾロとは反対の方向へ顔を背けた瞬間、ばちん、と鋭い目と視線が交わって反射的にぴょんと腰を浮かせてゾロの膝に飛び乗った。ぶわり、と怒気が広がって、ぱたぱたと他のいかついお客さんが倒れた音が聞こえたのが恐ろしくてぎゅうっとゾロに抱きつく。酒がこぼれる、なんて喚きながら私が落ちないように手を添えてくれたから安心して息を吐こうとして、おい、と低く重たい声をかけられて硬直した。恐る恐るその声の持ち主に目を向ければ、静かに怒り狂ったローがいて目を泳がせる。こわい。いつもルフィやゾロたちに振り回されて怒ったりしてるのを見たことがあるけど、そんなものとは比べようもないくらい怒ってて怖い。というか、いつからいたんだろう。

「魔女どもと約束があるんじゃなかったのか」
「ぞ、ゾロがいたから……」
「へえ」

 は、と馬鹿にするように鼻で笑われて瞬く。

「……お前はいつからゾロ屋と付き合ってたんだ? おれは聞いてねェが」
「……おれを巻き込むなよ」
「この状況で巻き込むなとは笑わせてくれるな」

 支えてくれていた手が降りろと私を促すから反射的にぎゅっとその腕を掴む。途端にまた殺気だったローの気配に視線を落として、ゾロの腕の中という安全圏でぐるぐると考え込む。おかしなことを言われた気がする。ゾロと、付き合ってるとか、なんとか、……?

「つ、付き合って、ない」
「へえ、そうか。その格好で? 笑わせるなよ」

 その格好ってどの格好? だって、……だって、怖い目にあったらゾロやルフィやサンジくんに守ってもらうのがいつもの日常で、当たり前の光景で、……ローが怒ってること以外、おかしなことなんて何もなくて困惑する。

「通りでいつも朝まで一緒にいてくれねェわけだ。おれは二番目の男だったんだな、……はっ、なんなら二番目でもなかったりしてな」

 嘲るように吐き捨てられて固まる。二番目って何。

「まあたぶんこいつも悪いんだろうが、それ以上おれたちの仲間侮辱するなら喜んで巻き込まれてやるぞ」
「あ゛ァ?」
「尻軽女扱いすんのはやめろ。一番も二番もねェんだよ、彼氏いねェらしいからな」
「おれは了承してねェ」
「了承も何も、彼氏いねェんだって。聞いてたか? 聞いてただろ? こいつはお前のこと彼氏だと思ってねェんだよ。おれもこいつはお前と付き合ってるもんだとばかり思ってたが」
「…………あ?」
「お前こいつにちゃんと告白でも誓いでもなんでもいいからそういうの言ったか?」
「………………好きだ愛してるだは数え切れねェほど言ってるが」
「だってよ。お前それ告白だと思ってなかったのか?」

 ぐるぐると考え込んでいる間にふたりでばかり話していた矛先が急に私に向けられてびくつく。え、何? ゾロを見上げれば、トラ男に好きだって言われてねェのか?と聞かれて首を振る。いっぱい言ってもらった。でもあれは、リップサービスみたいなもので、溺れたらダメなやつで、だから。

「……勘違いするなよ、っていつも言ってるから、ちゃんと、私は勘違いしてない。……付き合ってない」
「……何に勘違いするなよって言われたんだ?」
「うちはドライだって、勘違いするなよって、ゾロもいっぱい聞いたでしょ?」
「………………聞いたな。よし、トラ男が悪い。出直せ」
「は? ……いや、それは、……それはアレだろ、お前らの船長が同盟関係を友達だと思ってるから散々ちげェぞって釘を刺してただけで、それとこれとは違うだろ、おい、なあ」

 今にも空気が張り裂けてしまいそうなほどひりついていた空気が霧散して、ようやく息がしやすくなった気がしたけど頭はまだ混乱しっぱなしでよくわからない。

「……勘違いなんか、してない」

 まるでローが本当に私のことを好きで、ゾロに嫉妬してるみたいな状況だけど、勘違いなんかしたりしない。勘違いしたら、捨てられる。捨てられたくない。

「まあ頑張れよ、トラ男」
「そう思うならとりあえず返せ」
「返せ? これはうちの仲間だ」