タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/09/10 スモーカー
誘う術を教えて・天国はここにある・君と僕の距離
※本当に嫌われてる


「あっ、スモやんだ」

 地面に寝転んだまま楽しそうに放たれた名前に眉を顰める。どん、と背中を押されて海楼石で力の抜けた体が情けなくも崩れ落ちて女と同じく地面に寝転ぶ羽目になった。がちゃんと背後で扉の鍵が乱暴に閉められたのを聞いて舌打ちをする。

「久しぶり、元気だった?」
「元気に見えるのか、これが」
「生きてれば元気だよ」

 同じく海楼石をはめられて力が抜けているくせに楽しげな海賊から視線を逸らす。海賊と馴れ合うつもりはない。

「あの人たち海軍なのにスモやんも捕まっちゃったの? じゃああの人たち悪い海軍だったのかあ……いい人たちだと思ったのになあ」

 残念、と心から悲しそうに紡がれた言葉に眉を顰めて視線を戻す。

「悪い人だったんなら大人しくしないであのまま刺せばよかった」

 ちぇ、と悪びれもせずに言われた言葉に目を剥く。海賊らしい蛮族的な思考を叱りたいが、正義のコートを背負って悪行を重ねている身内がそもそもの発端だから何も言えずに口籠もる。

「ちゃんとあの人たち捕まえてね」
「……言われなくてもわかってる」
「本当に腹が立ってるから先に私があの人たちに会ったら仕返ししちゃうからね」
「……させねェし、てめェらも捕まえる」

 おれの返事にそんな未来はありえないと言わんばかりにけらけらと笑う女にどんどん眉間の皺が深まる。

「スモやん早く偉くなってみんなのこと守ってよ」
「……そのみんなを傷付ける側の海賊に言われたかねェな」

 何が面白いのか、海楼石をつけられているからこいつもおれと同じく体が重いはずなのにずっと自由に笑う姿に舌打ちをして吐き捨てた。確かに、と否定もせず受け入れるからさっきから罵倒は暖簾に腕押しでしかない。打っても響かない嫌味を言うのも疲れて口を閉じる。

「スモやん助けにきてくれる人いる?」
「……」
「無視しないでよお」
「……」
「たしぎちゃん来る? ヒナちゃん? ねえねえ」
「うるせェ、黙ってろ」
「わあ怖い」

 口では怖いなんて言いながら全く怖がってないのが丸わかりで腹に苛立ちが募る。それなのに海楼石のせいで掴みかかる気力が湧かないから腹の底が気持ち悪い。

「せっかく一緒に捕まってるんだからおしゃべりしようよ」
「海賊と馴れ合う気なんざかけらもねェ」
「ちょっとくらい自由にすればいいのに」

 その言葉にかっと血が上る。海賊が好き勝手自由とやらを行使した結果、罪のない市民たちが怯え傷付いている。こいつらはやっぱりどこまでいこうと海賊は海賊で無責任なクズだと再確認して歯を食いしばる。一刻も早く海楼石を解いて締め上げたいのに、情けなく床に転がることしかできない現状が歯痒い。

「お前らの自由は誰かを傷付けてる」
「知ってるよ。だからちゃんと我慢してることもある」
「ハッ、てめェら海賊がいったい何を我慢してんだ」
「スモーカーのこと好きだけど、私は海賊だからちゃんと諦めてる。もし来世でまた会えたら私と恋してね」