タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2024/09/12 ロー
抱き締めた身体はあまりにも細く・夢でもいい、触れられるのなら・希望はいつかなくなると知っていた
※これの続き
※4949後遺症捏造
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心配だから送らせて、そう言えばトラ男の熱心なファンがたじろいでしまって踏み込みすぎたと焦る。海賊に家の場所なんて知られたくないよね、わかる。でもやっぱりいくらこの島が平和だからって、こんな服のサイズがゆるゆるの無防備な女の子をひとり放り出せない。私のことがとことん怖いなら解散したふりをしてそっと後から見守ることだってできた。でもつい言葉にして踏み込んでしまったのは、私が離れようとした時に手首をぎゅっと握ってくれて引き止めてくれて、今も尚その体温は離れないまま。だから、仲良くなれる気がしてしまって。距離の詰め方を間違えてしまったことに焦りながら再び身の潔白を証明するために口を開く。
「家は怖いよね、ごめんね、じゃああの、人通りの多い場所、知ってる? せめてそこまで見送らせてくれないかな、本当に心配で、」
騙したりなんてしない、と重ねて言う私に頷いて、手首をぎゅっとまた握りしめてくれたからほっとする。どっちに行けばいい?と促せば、おずおずとその長い足を動かしてくれて隣に並んだ。
「ねえねえ、トラ男のどこが好きなの?」
嬉しくなってまた深追いしすぎてしまったみたいで、女の子が動揺して息を呑んだのがわかって慌てて口を噤む。ばか、学んで、ばか。
「トラ男、優しいもんね、好きになるのなんか当然だよね、当たり前のこと聞いてごめんね」
びん、と腕が突っ張って女の子が急に立ち止まったのがわかって振り返った瞬間、一気に体温が下がった。目を見開いて私を見つめる姿に、さっき呟いた言葉を思い出す。トラ男のことが大好きな女の子の前で、勘違いさせるようなことを言ってしまった。さっと血の気が引いて慌てて一歩近付いて働かない脳で言葉を次々と繰り出す。
「アッ! ちがうよ! 私、トラ男のこととったりしないよ! 好きじゃない! アッ違うすき! 好きだけどそういう好きじゃないから安心して! あああ泣かないで、誤解させてごめんね、大丈夫だよ、こんなに健気に好いてくれるあなたは素敵だから、きっと想いは伝わるし、私もあなたの恋、応援する! そうだ! 私たちの船に来ない? 電伝虫でトラ男と話してみようよ、ね? 泣かないで、」
私が言葉を紡げば紡ぐほど潤んでいく目に焦ってまつげを濡らす水滴をそっと親指で拭いとる。
「……どうして、」
思考回路がぐちゃぐちゃなせいで同じようなことばかり紡いでいた私に、初めて聞く声が落とされて反射的に口を閉じる。ずっと話さなかった子が、勇気を出して声を上げてくれたんだから一言一句聞き逃さないようにしないと。
「…………どうして、当然なのに、好きにならないんだ」
涙に震えた高い声はどこかトラ男と似ていて、熱心なファンは声帯まで似てきちゃうものなのかなと目を見開いて驚いてしまう。それから言われた言葉を何度も頭の中で繰り返し反芻して答えを探る。どう言えば、この子は泣き止んでくれるだろうか。
「海賊なんだから優しくなんかない、……でも、優しいと思ってくれてるのに、当たり前に好きになると思ってくれてるのに、……どうして、好きにならないんだ」
「えと、……ええと、」
「お前に、応援なんかされたくない」
「…………ごめんなさい」
トラ男と実際に会えて話せる私のことをこの子がなんとも思わないはずがない。それなのに、ちょっと手に触れられて仲良くなれると浮かれた私がずかずかと恋心を荒らしたせいで目の前の女の子を泣かせてしまった。応援なんかされたくない、と震えながら言う子に、謝ることしかできなくて唇を噛む。無防備な女の子を守りたくて近付いたのに、この世で一番この子を傷付けてしまったのは私。
「お前が謝ることなんてない」
涙に滲む声に突き放されて、つんと鼻が痛くなる。だけど自業自得だし、私が泣く資格なんてない。私がこの子を傷付けた。
「おれが、……嘘なんか、ついたから、お前のこと傷付けた、……おれだけが悪い、八つ当たりだ」
ごめん、と謝られて意味がわからなくなる。嘘なんて吐かれてない。だって、さっき初めて声を聞いたのに。
「…………ちょっと待て、……泣いてねェ、泣いてねェ、が、ちょっと今は覇気出せねェから、落ち着くまで、ちょっと待て、お前は悪くない」
「?? ……吐き出していいよ、私、ちゃんと聞く」
「あ? ……いや違う、そうじゃなくて、覇気が、」
「……はき?」
ぎゅう、と手首を握られて反省も忘れて首を傾げる。
「…………覇気?」
頭の中で言葉の意味をきちんと捉えて、逆に意味がわからなくなる。こんなに無防備な女の子が、覇気を使える?
「……嘘も吐くし優しくもないおれのことなんか好きにならなくて当然だが、……それでも、嫌いにだけはならないでくれ」
深く息を吸った女の子が悲しいことを言うからそんなこと言わないで、と口にしたかったのに、手首に痛みが走って目をぎゅっと閉じてしまう。いた、と口にした瞬間、力が緩んでゆっくり目を開く。手首に視線を落として、視界に入ったものを認識できなくて首を傾げる。だって、さっきまで、細くて長い華奢な手が私の手首を掴んでいたはずなのに、血管の浮いたふしくれだった手が私の手首をぐるりと簡単に一周していた。だけど指のそこかしこにある刺青だけは変わらなくて、手首から腕、と徐々に視線を動かして息を呑む。長いまつ毛を濡らして恋にまっすぐな女の子がいたはずなのに、今、私の目の前に立ってるのはトラファルガー・ロー……?
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