タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/09/16 エース
欲しいだけあげる・ひたひたと迫るのは・好きだと言わせてみろよ


「エースはナースさんたちのこと好きにならないの?」
「あいつらはオヤジに惚れて船に乗ってんだろ。親父の女に色目使う息子がどこにいんだよ」
「……言われてみれば確かに……」

 目から鱗、と言わんばかりに何度も瞬きを繰り返す女に思わず苦笑いを返す。そりゃおれも男なもんで、あのぼんきゅっぼんの体にうおと思うことは一度や二度じゃ数え切れないが、やっぱりどうしたってオヤジの女だという意識にそんな気持ちも一瞬で飛んでいく。別に本当にオヤジが手を出してると思ってる訳じゃないが、あいつらがオヤジ以外の男なんか視界にも入ってないのは事実だろうし。

「エース、ちゃんとそういうのわかるんだ?」
「そういうのってなんだよ」
「色恋沙汰。わからないと思ってた。普通にみんなのこと好きだぜ、って返ってくると思ったのに」
「お前おれのことガキだと思ってんのか?」

 呆れるおれにうふふと悪びれず笑うからため息をつく。

「じゃあ大人なエースはどういう女の人に色目使うの?」
「……………………」
「島に降りたらどんな女の人ナンパするの?」

 ねえねえ、とそれこそガキのように好奇心いっぱいの顔で尋ねてくる女から顔をそらす。気まずいにも程があるだろ。お前こそ色恋沙汰なんにもわかってねェんじゃねェの。

「エースってば」
「うるせェな。おれは別にそういうのはいいんだよ」

 肩を掴んで顔を引き寄せようとしてもおれに勝てるはずもないからただ手を添えるだけになってる女に顔を逸らしたまま言い捨てる。

「ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃない。サッチは好きな女の人のタイプ教えてくれたよ」

 成功体験を既に積んできたらしい女が諦めなさそうなことを理解して今頃メシを作ってるんだろうサッチに心の中で恨み言を飛ばす。

「急になんなんだよ……」
「海賊も楽しいけど潤いが足りなくなっちゃったの」

 色恋で潤いたいの、と顔を見なくても声色でうっとり夢見がちな表情をしてるのが見て取れてため息をつく。

「人の色恋沙汰で潤うんじゃなくて自分でやってろよ……」
「悪い男はモテるけど、悪い女は普通の男の人に嫌がられちゃうんだよ」
「……海賊の悪い男相手にすりゃいいだろ」
「海賊の男は私たちの敵でしょう?」

 確かにな、なんて今度はおれの目から鱗が落ちてそらしていた視線を戻す。

「じゃあ仲間で探せよ」
「あは、仲間(みんな)は家族じゃない」

 さっきおれが言ったことと似たようなことを言い放った唇を見つめる。そうなんだよな、……だから困ってんだよ。