タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/10/07 スモーカー
凍土に眠る恋心・似合わない眼鏡・眩しすぎる笑顔
※いつかくる未来


「……老眼だ」

 書類を眺めるおれの顔をじっと不思議そうに見つめる姿に吐き捨てても、笑いもせずただ納得したようになるほどと頷いた女に気勢を削がれた。どうしたって抗うことのできない体の老化に不貞腐れたおれが馬鹿みてェじゃねェか。おれの顔にただ見慣れないものが乗っかっているのが不思議なだけですぐに受け入れたはずの女がそれでもじっとおれを見つめている気配に座りが悪くなる。

「なんだよ」
「見慣れないから」
「……癪だがこれから見慣れる」

 確かにそうだねと微笑まれてつっけんどんになったことをまた後悔した。歳を重ねても、心はいつまで経っても成長しなくて歯噛みする。この女の前じゃいつもそうだ。

「サングラスはよく見るけど、ガラスが透明になるだけで印象結構変わるね」
「……似合わねェのはわかってらァ」

 あは、と今度こそ笑われて、ようやく変な罪悪感を抱かずに舌打ちができた。

「でも私は好きだよ」

 のに、告げられた言葉に手元の書類がぐしゃりとひしゃげる。眼鏡をずらして女の顔をじっと見つめてみても相変わらずただ楽しそうに微笑んでいるだけで、おれの望む深い意味なんてきっとない。くそ、いつもそうだ。おまえの言葉に、態度に、永遠に振り回される。