タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/10/18 エース
さらば、日常・肩口に鼻を埋めて・だから謝らないで
※あんまり幸せじゃない


「おれは誰とも付き合わねェ」
「わかってるよ」

 エースが鬼の子と蔑まれた日々を知っている。なんの罪のない子どもをただ血が繋がっているからという理由だけで排除しようとした世界に強い憤りを感じるけれどそっと頷くだけ。酷いことをされたエースが次の犠牲者を生むかもしれないことに忌避感を覚えるのは当たり前で、だから私はこの気持ちを海に隠した。あんな目にあったのに卑屈にならずに太陽のように気の良いエースが誰かに好かれるのは当然で、島を巡るたびに誰かしらに告白されて、断って、傷付けたことに傷付いて、そしていつも過去を思い出して固く誓うように宣言するのをただ大人しく聞く。

「あんな目に遭うのはおれひとりでじゅうぶんだ」

 エースにだって、そんな目にはあってほしくなかった。子どもはみんな世界に愛される生き物であってほしい。だけどそんなこと願ったって時間が巻き戻るわけじゃない。エースのその言葉にだけは頷きたくないからいつも黙って寄り添うだけ。

「おれに関わったら辛い目に遭う」
「私はエースと出会えて幸せだよ」

 へっ、とちゃかそうとして失敗したぎこちない笑顔に胸が痛んで、それでも精一杯の本音と幸せの笑顔をエースに向ける。エースに迷惑かけたくないから恋心は隠さなくちゃいけないけど、仲間として、人として愛してることは隠さなくていい。受け取ってほしい。だけどそれすら受け取ってくれないエースに歯噛みして、でも諦めずに何度だって伝える。

「私はエースと出会えて幸せ」
「………………、」
「エースのことが大好き」

 恋心じゃなくたって、それは本当だから。

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 おれなんかのどこを好きになってくれたのかはわからねェが、時折おれに告白してくれる奴がいる。ひた隠しにしてきた血筋を知ってる奴は少ない。だから純粋におれのことを見ておれを好きになってくれたんだと思う。だからこそ余計に駄目だった。おれを見ておれを好きになってくれた奴を、巻き込みたくなかった。だから、おれを好きだと言う女は遠ざけてきた。不幸せにしたくないから。でもこいつは、おれを知っていて、それでも好きだと言ってくれて、だけど、それが悔しかった。おれのことを好きだと言ってくれてるのに、おれの求めていた好きのはずだったのに、その好きじゃ物足りなくて、でも、不幸せにはしたくなくて、だからこれが正解のはずなのに、なんでだか悔しくて顔を伏せる。信じられてないと思ってるのか、大好きだよ、と重ねて言われるから下手くそな笑みが口端に浮かぶ。
 おれだって好きだ。でも、お前とおれの好きは違うし、いつか絶対にお前を不幸せにする。お前が幸せになれる場所に、おれは一緒には行けない。