タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/03/31


「サンジくんの恋は楽しそうだね」

 たぶんこれがサンジくん相手じゃなかったら何言ってんだこいつ、みたいな表情をされたんだと思う。サンジくんだからその表現が柔らかく、不思議そうに首を傾げて私をただ見つめているだけにとどまっただけ。

「恋はいつでもハリケーンだし、えと、うん、楽しい、よ?」
「私はあんまり楽しくないから」

 恋ってそういうものでしょ、と言わんばかりの不思議そうな返答に机に頬杖をつきながら呟いた言葉は思いの外拗ねた声が出てしまってちょっと申し訳なくなる。八つ当たりみたいになっちゃった。ごめん。でもどう謝ればいいのかもわからなくてへらりと笑って誤魔化す。まあサンジくん相手なら笑顔を向ければ勝手に誤魔化されてくれるはずだから。

「楽しく、ない?」
「基本的には楽しいよ? でもたま〜に楽しくないから、ずっと楽しそうなサンジくんがちょっと羨ましいというか、見習わなきゃなあって思って」

 傷付く様子もなく笑顔に誤魔化されてくれたサンジくんに、今度は拗ねた声が出ないように気をつけながら明るく呟く。うん、たまに楽しくないだけで、今この瞬間はやっぱり楽しいし。

「……れでぃ、恋してんの? すきなひと、いるの、」
「ん? いるよ」

 目の前のあなた。なんてことは困らせるから言わないけど。呆然と目を見開くサンジくんに笑う。かわいいな。普通の男の人相手ならこんな反応をしてもらえば私のこと好きなのかな?なんて期待に胸が躍るけど、サンジくん相手じゃ意味がない。一言会話しただけの女性にフラれても号泣するサンジくん相手なんだから、私相手にだってこんな反応になるのは当たり前で。だけどぽろっと泣いてころっと笑って、そしてまたメロリンと目をハートにするサンジくんは表情豊かで、本当に毎日誰にでも楽しそうに恋をしている。
 だから私相手でもその大きく見開いた目から涙が零れ落ちるんだろうなあ、なんて思ってハンカチの用意をしていたのに一向に流れない涙に首を傾げる。あれ?

「……楽しくねェ」
「?」
「苦しい」

 ぎゅう、とちぎれてしまうんじゃないかってくらい胸元のシャツを握り締めながらぽつりと零されたサンジくんの言葉にどうすればいいのかわからなくなってしまった。