タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2024/12/22 ゾロ
欲しいだけあげる・天使の逆襲・置き忘れた仮面


 ぐでんぐでんになったゾロが私を膝の上に抱え込んだまま離してくれなくてため息をつく。一度お手洗いに行きたいから離してと嘘をついて逃れられたのに、しばらくしてまた様子を見に私が戻ってくるや否やぎゅっと抱き込んで私を腕の中に収納してしまったからもう逃げることは諦めた。その代わりにもうとっとと酔い潰してしまおうとお酌をどんどんすることにした。のに、ここまでぐでんぐでんになっても潰れはしないから困ってしまう。井戸のようにお酒が湧き出る島、なんていう酒豪にとって天国みたいな島に着いて朝から晩までずっと飲み呆けているゾロを見守ろうなんてしなければ良かったと今更ながらに後悔した。もうお酌するのも疲れて脱力する。

「ねえゾロ、もう帰ろうよ」
「いやだ、まださけはのこってる」
「飲み干す気なの? さすがに島の人に怒られるよ」

 海賊らしい所業ではあるけど。捕まってるから仕方なく厚い胸板に背中を預けて意外と座り心地の良い椅子にため息をついた。

「お腹いっぱいにならないの?」
「ならねえ」
「ずっとおんなじお酒飲んでて飽きない?」
「あきねえ」
「私抱っこする必要はないよね?」
「おお」

 頭を上に向ければゾロも私を見下ろしていてばっちり目が合う。必要はないって同意してくれたんなら離してくれないかな、なんて思うけど酔っ払いに何言ったって無駄か。諦めて何度目かのため息をつこうとした瞬間、ぺかーっと輝く笑顔を向けられて瞬く。何その無邪気な笑顔。はじめてみた。良いお酒を見つけた時に見る笑顔や、手強い敵に嬉しそうに口角があがるところは見たことがあるけど、赤ちゃんみたいに邪気のない可愛らしい笑顔に拍子抜けする。今海軍がゾロを視界に入れてもゾロだって認識できないだろうなってくらいの笑顔にぽかんと口が開いて見入る。

「……ゾロ、笑顔かわいいね」

 思わずついて出た言葉に、ゾロの真っ赤な顔がムッといつもの表情に近くなる。何も言わなきゃ良かった。可愛かったのに。

「かっこいいっていえ」
「……あは、」

 さっきの笑顔が消えてしまって後悔したけどムッとして言われた言葉が可愛くて空気が漏れる。ゾロでもそういうの、気にするんだ。

「かっこいいよ」
「ふふん」

 満足そうにまたぺかーっと光った笑顔に頬が緩んで、この可愛さに免じてもうしばらくだけ付き合ってあげることにした。