タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
← →
2025/01/08 ゾロ
残された希望・合わせたてのひら・甘くて蕩けてしまいそう
※ボツ
▼
「私は笑顔が可愛い人が好きかな」
盗み聞くつもりなんてなかった。本当だ。宴の喧騒の中、自然と男と女に分かれて距離も開いていた。それにおれたちより全然飲んでいない女ども(ナミ除く)はあまり酔ってもいないから声量だっていつもと変わらずうるさく騒ぐルフィたちに声を掻き消されてた。なのに、好きな女の声だけがまるで隣に座って話しかけられているかのような明瞭さでしっかりと聞き取れて酒を飲む手が止まった。さっきまでの喧騒が戻ったせいでもうあいつらが何を話してるのかなんてわからない。それでもさっきは確かに聞こえた。好きな男のタイプを答える女の声が。笑顔が可愛い人だと。おれとは正反対だ。無意識に視線を移した瞬間、ばちりと視線が絡み合って酒でほんのりと血色の良くなった頬を緩めながらおれに手を振ってきた女に何も返せず俯いた。
▼▼
「最近のゾロ、機嫌悪いね」
「……そんなことねェだろ」
ずっと、あの言葉が頭をチラつくせいだ。理由はわかっていてもそれをぶつける訳にもいかないから嘘をつく羽目になる。あからさまな嘘に困らせているのがわかるから色々な負目が重なって視線を逸らして、きっとまた傷付けたんだろうなと胸が軋む。自分勝手な気持ちから何も悪くない奴を悲しませるようなおれだから、あんな条件がなくたってそもそも好かれない。笑顔が可愛くなくてもただひたすら誠実で、お前を傷付けないような男なら、可能性はあったかもしれないのに、その万に一つの可能性すら自分で壊した。
俯いたおれの懐にぐいと遠慮なく入り込んできた女に瞠目する暇もなく頬に指を突き刺されて固まる。むに、と無理矢理口角を上げられて真正面から目が合った女が手本のように笑う姿に瞬いた。
「悲しいことでもあったの?」
ねェ、と言いたいのに変に顔を弄られているから返せなくて質問をしてきているくせに独壇場の女を見下ろすことしかできない。
「悲しいことがあったなら、私も一緒になんとかするからゾロには笑っててほしいな」
笑ったところでお前に好きになってもらえないのに。
「私、ゾロが笑ってるところ見るの大好き」
でも可愛くねェからお前に好きになってもらえない。
「ゾロの笑顔は可愛いから」
「…………あ?」
「ゾロ、笑うと可愛いんだよ」
だから笑って、とまた口角を無理矢理あげられて固まる。
← →