タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2025/01/16 ルフィ
誘う術を教えて・君の総てを飲み干したい・希望はいつかなくなると知っていた


「あれ、可愛いことしてるね」

 麦わら帽子しか見えないくらいの量の色とりどりの花束を抱えてよたよた歩いてサニーに帰ってきたルフィの顔を覗き込む。体ごと花畑に突っ込んだのか至る所にカラフルな花弁をくっつけているルフィが花の隙間から見えて頬が緩んだ。ルフィが花より団子なのはわかってるけど可愛くて。きっと食べられるお花なんだろうなと笑いながら、ぱちんと目が合ったと同時にルフィの顔から私の顔に花が埋もれて驚く。ルフィにたくさんの花束を押し付けられて反射的に受け取ったは良いものの、花に溺れそうになりながらどうにか隙間から顔を出した。身軽になったルフィが満足そうにうんうん頷いていて首を傾げる。

「キレーだろ!」
「うん、…………おいしくなァい……」

 そうだね、と口を開いたと同時に花弁が私の口の中に入り込んでしまって思わず咀嚼した瞬間顔を顰める。そうだった、ルフィって味覚はあんまり信用できないんだった。ルフィが持ってきたのだから勝手においしいものだと思い込んだ私が悪いけど、期待していた舌は苦味を余計に感じてしまって少しだけ目が滲む。サンジくんに教育されている私たちは食べ物を吐き出すことなんて頭からなくて、苦くても一度口に入ってしまったのだからと目を瞑ってごくんと飲み込んだ。瞬間、ルフィの素っ頓狂な声が聞こえて滲む視界を開く。

「なんで食った?!」
「え?」
「花だぞ!?」
「……え?!」
「ペッしろペッ……ってもう飲みこんじまったのか?!」

 がっ、と遠慮無しに口の中に親指を突っ込まれて広げられた口の中を確認したルフィがあんぐりと口を開いたまま私を見ていて呆然とする。えっ。これただの花なの。食べられるお花じゃなくて、本当の本当にただ綺麗な花? えっ。

「る、ルフィが持ってきたから、食べ物かと思った……」
「食いもんだったらおれが食ってる」

 きっぱり言い切られて瞬くことしかできない。

「……そりゃたまにはお前に分けてやりてェなってのもあるけど、そう思うくらいにうめェもんは気付いたら腹の中におさまっちまってるからやれたことねェもん。……腹痛くねェ? チョッパー探してきた方がいいか?」

 口の中を確認するために突っ込まれた親指は引っこ抜かれて私も苦味が広がる口を閉じる。私のお腹を心配そうに見るルフィに首を振って今更ながらに恥ずかしくて誤魔化すように笑う。積極的に食べようと思ったわけじゃないけど、口の中に入ったのだからどうせなら食べてしまえと咀嚼したことが恥ずかしい。でもだって、ルフィが持ってきたから。花より団子のルフィが、まさか本当にただの花を持って帰ってくるとは思わなくて。

「……お前おれが食いもんにしか興味ねェと思ってるだろ」
「……えへ」
「おれだってなァ……好きなやつにキレーな花渡すくらいのチシキはあるぞ!」
「……え?」