タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/03/20 ロー
誘う術を教えて・奇跡なら自分で起こす・思いの中に囚われる
※現パロ
※なんでも許せる人向け
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「それってみんなも一緒?」
出掛けないか、と勇気を振り絞って紡いだ言葉は勢いよく地面に叩き返されて終わった。遠回しにふたりじゃ嫌だって言われてる。
「……ふたりじゃ駄目か?」
ほんの少し吐きそうになりながら、どうにか食らいついた。不安そうに尋ねられたから、一か八かにかけることにした。嫌悪感に塗れた表情だったりしたらさすがに脈も何もないなと項垂れるしかないが、不安そうな表情なだけだったから。その不安さが、変な奴に声かけられて怖いとかだったら泣くが。今まで友達の友達として普通に話してたんだから、さすがにそれはないと思いたい。おれの追撃に困ったように眉を下げながら口を開いたから、覚悟を決める。
「誤解されるようなことは、ちょっと、」
その言葉に死にかけていた心がどうにか生き返った。懐に入れた人間に殊更に甘い自覚があるから、妹のラミを恋人だと勘違いされることはよくある。面倒なことが遠ざかってくれるから基本的に勝手に勘違いしてくれと放っておくことが多い。その弊害が今まさに起きてしまったが、簡単に解ける誤解で助かった。
「ラミのことを誤解してるなら、それは勘違いで、」
「ラミちゃん? は、妹さんでしょ?」
引き継がれた言葉に目を丸くする。なんだ。知ってるのか。じゃあ、……じゃあ何を誤解されてるんだ……? ラミ以外で勘違いされるようなことは今までの人生一度もなくて混乱する。
「大好きな人、いるんだよね? 誤解されるようなことしちゃだめだよ」
大好きな人は今目の前にいるし、全人類にどうにかこうにか誤解されないか願ってるし、あわよくば本当のことになってほしい。のに、目の前の一番誤解されたくない人間に謎の誤解をされていて心当たりも何もないせいで狼狽する。
「……ラミ、のことは、誤解してないんだよな?」
「……? うん」
「……………………誰のこと言ってるんだ?」
「だれ……? えっと、……優しくて、」
誤解だが、大事な人が他にいる男の誘いをきっぱり断れるお前は誠実で優しい女だ。
「たまに怒ると怖い、らしいけど、それも結局優しいからそうしてる素敵な人で、」
自己紹介をしてることに気付けないか? 今のお前のことだ。
「天真爛漫で可愛くて、」
お前しかいない。
「ドジっ娘ちゃん」
「コラさんじゃねェか!!!!!!」
ダンッ、と地面を叩くように崩れ落ちるおれに悲鳴が降りかかったのが聞こえたが、悪いがそれどころじゃない。大丈夫、と急に崩れ落ちたおれに寄り添って背中をさすってくれるのは優しいが、今はその優しさがつらい。コラさんじゃねェか。確かに好きだし、まあ、言葉にするとほぼ間違ってはねェけども、コラさんに可愛いと思ったことはねェ。ドジっ子はドジっ子だが、お前、相手おれより十三歳上の男だからな。それ知らないからなんかふわふわの可愛い生き物想像してんだろ。ドジも可愛いやつじゃなくて結構アレなことやらかすからな。まあコラさんのアレは医者でも治せねェし本人も周りも怪我はしねェから許せるけど、本当に結構な被害出してるからな。
「コラちゃん? に、誤解されたくないでしょ?」
「コラさんにも誤解されてェ」
「うん?」
「……間違えた、…………あのな、コラさんは別に、そういうんじゃなくて、」
願望が口を突いて出たのを慌てて誤魔化して顔を上げる。同じように屈んでくれていたせいで思いの外顔が近くて戸惑った。近い。喜んでる場合じゃない。変な勘違いをとっとととかねェと。
「……コラさん、男だから、」
「男同士だからって誰かに酷いこと言われたの? 誰? 私も知ってる人? 教えて、怒りに行くから」
「違う……違う……本当に違う……まずおれはコラさんのこと恋愛的には好きじゃねェ、恩人としては大好きだ、頼むからその勘違いだけは本当にやめてくれ」
今のはおれの言い方が悪かったな。男だ女だじゃなく、まず恋愛面でそんなふうに見たことがないと真っ先に言うべきだった。おれが悪い。お前は優しいな。優しいけどその優しさがつらい。あまりにも脈無しだ。応援しようとしてくれるな。
「えっ、ごめん、……そうなの? ごめん、…………ええと、……」
顔を覆って絶望に伏せるおれの耳に、ようやく納得してくれたらしい謝罪と戸惑いが降ってきて眉を顰める。謝罪は、わかる。別にお前は何も悪くないが。戸惑う理由がわからない。気まずいのか。おれの方が気まずいが。デートの誘いを勘違いで断られて、…………、そうだ、勘違いだってわかってもらえたんだ。ということは、ふたりきりで出掛けたいと誘った意味がようやく率直に伝わったということ、で。恐る恐る視線を向けた先で戸惑いに揺れる瞳と、ほんのり染まった頬に期待する。
「……おれには、今、……恋人はいない」
「う、ん」
溶けて消えたはずの勇気をもう一度絞り出す。きゅ、と唇をかみしめておれを見る姿は、脈無しには見えなくて心臓が変な音を立てる。
「……ふたりで出掛けたい、」
「いい、よ」
最早告白でしかない誘いになってしまったせいで、付き合えたのかと勘違いしてしまいそうなほどの喜びが胸中に広がって抱き締めたくなるのをどうにか堪える。デートに行くのを了承してもらえただけだ。でも、目の前で可愛らしく真っ赤に染まる女も、さっきまでのやりとりのせいでおれがお前を好きなことを知ってしまったはずで、それなのにふたりで出掛けることを了承してくれたのだから、これで期待するなって方が無理がある。
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