タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2025/04/25 ロー
現実よこんにちは・悪魔に捧げるのは・愛で地球は救えなくても僕は救えます
※ボツ


「最近ナミちゃんと仲良しだね」

 好きな人と好きな人が仲良くしてるのが嬉しくてうきうきで声を掛けたのに、一瞬で血の気が引く様を目の当たりにしてうきうきな気分も吹っ飛んだ。ふらりと長身が揺らいで船縁に手をついて崩れ落ちていったローに、チョッパーを呼んでこようと踵を返したのに腕を掴まれて立ち止まる。普段からは想像できないくらい弱々しい力だったけど、だからこそ余計に引き止められて手首を握り締められたままそばにしゃがみ込む。帽子の影に隠れて顔色が見えにくいからとそのふわふわを持ち上げて、ローの膝に乗せる。それから見よう見まねで顔色を窺ってみてもチョッパーやローのように優秀なお医者さんじゃないからとにかく顔色が悪いってことしかわからない。

「私どうしたらいい? チョッパー呼んできた方がいいと思うんだけど、ひとりになるのは嫌? 夕方くらいには一回帰ってくるって言ってたから、それまで待てる? 待てそうにないならやっぱり誰か呼ん、」
「いしゃがひつようなわけじゃねェ……ここにいてくれ……いいわけを、させてくれ」

 呂律が怪しくなるほど狼狽したローに困惑しながらとりあえずそばに腰を下ろす。医者が必要なわけじゃないという言葉をそのまま飲み込めるほど信用はできなかったけど、具合が悪くなった心当たりはありそうなローに言うことを聞くことにした。掴まれていない方の手のひらをぺたりとローの額に触れさせてみてもやっぱり驚くほど血の気が引いているせいで体温が低くて眉を顰めてしまう。勝手に触ったことに気付かずにロー曰く言い訳を探してるらしいローの口がぱくぱくと動いているのをじっと見守る。

「わいろを、……わたしてたんだ」
「……賄賂?」

 ぽつりと落とされた言葉に一瞬脳が単語を理解できなかったけど、言葉の意味を理解した瞬間納得する。最近ナミちゃんとよく話していたのは露悪じみた言葉選びをするロー曰く賄賂の受け渡し会、つまりはただの情報交換会。納得して、ほんの少ししょんぼりした。好きな人と好きな人が仲良くなったと思ったのに、それは勘違いでただの建設的な意見交換会だった。

「…………そんなに私たちと仲良くするの、いや?」

 ローがわざと海賊らしい振る舞いをするのはわかってる。本気で私たちのことが嫌いなわけじゃないのだってわかってるけど、そんなに血の気が引いてしまうほど仲良く見られるのを嫌がる姿を見せられると悲しくて落ち込んでしまう。

「ち、ちがう! くそ、あの悪魔め、……やけに協力的だと思ったら、こうなることを見越してたな、くそ、くそ……」

 冷たい額に触れていた手を離して落ち込む私に否定をしながらもぶつぶつと何かを呟くローに口籠る。違うって言われたって、……事実、ローが言動と裏腹に優しいことを知っていたって、あまりにもそれを突きつけられると嘘だって傷付いてしまう。

「……お前とは、仲良くしてェ」
「無理しなくていいよ」

 絞り出すような言葉に喜ぶ気力もなくて、つい可愛げのない返事をしてしまった。ローのこと、悪く言えない。私だって仲良くしたいのに、うんって頷けばよかっただけの話なのに、何度も否定されるとやっぱり悲しいから、だから、子どもみたいに拗ねてしまった。

「ちがう、無理なんざしてねェ。……そもそもお前のことを知りたいから、賄賂を渡してた」
「?」
「……賄賂を渡さねェと、おれはお前と話せねェ。今ここにふたりで船番していられるのも、賄賂を払ったからだ」

 握られている感触なんて全然なかった手首にぎゅっと力がこもって瞬く。私と話す為だけにローがナミちゃんに賄賂を渡す……、?

「……仲良くするの、嫌がってるわけじゃない?」
「……ああ、……いや、海賊としては、……いや、もう何言っても説得力はねェな、……だが、勘違いされるのは困る」
「かんちがい」
「……お前を口説く為の賄賂だ」