タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/04/29 ゾロ
逃げられないならぶつかるのみ・真っ赤な唇は半月よりも綺麗に・だから謝らないで
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「手に口紅ついてるよ」
「違う勘違いするなこれは違う待て逃げるな頼む」
手首を掴んだ瞬間、いた、と悲鳴が聞こえて慌てて力を緩めながらもどうにか拘束して引き寄せる。もがいて逃げようとするからもっと強く抱きしめたのに、くるしい、と呻く声が聞こえてしまったら反射で力を緩めてしまった。それでも誤解を解くまでは逃がせなくてまた苦しませない程度にしっかり力を込めた。
「あの、……はなして、」
「ああ、聞け、誤解だ」
「や、ちがう、ちかい、にげないから、」
離して、と言われていたことに気付いて二個目の誤解があったことに納得したが、今にも逃げ出してしまいそうな顔色が信用できなくて無視した。掴んでいた手首は弁解のために必要だからと離して反対の片腕でしっかり腰を抱いてその手を目の前に突き出す。
「これだろ」
わ、近い、と悲鳴を上げられてほんの少し腕を引く。手の甲とそれから一旦腕を上にあげて布をめくりあげれば腕の方にもたくさんの口紅の痕。
「つけられてきたんじゃねェ、つけてきたんだ」
「? ……いや、まあべつに、女の人にちゅーされてきたとは思ってないよ、変なつき方してるし。……だからついてるよって言っただけ、最初から勘違いとかはしてないよ、不思議だなとは思ったけど。だから、離して」
「逃げようとしてるから離さねェ」
変な誤解はされてなかったみたいでとりあえず安心する。だがずっと隙あらば逃げようとしている足の動きには気付いてるし、一番されたくない誤解をされていなかったことに安堵したところで離すことはまだできない。じゃあなんでそんなに逃げようとするんだよ。
「おいこら動くな、せっかくつけてきたのに消えたらどうする」
「?」
「お前、どの色が好きなんだ」
急に逃げようとする気配が消えてようやく拘束を解く。まだ少し布に隠れているそれを見せようと捲り上げて、見えやすいように腕を引いた。瞬きを何度も繰り返しながらおれの腕をじっと眺める姿にようやくほっとして、選択を待つ。
「なんでこれこんなに種類あんだ? てかてか光るやつと光らねェやつときらきらがついてるやつだけだと思ったら、やたらあるじゃねェか」
「……?」
「お前になんかやろうと思ったのに色々ありすぎてわからねェから、腕につけてもらってきたんだよ」
「……くれるの? どうして?」
じっとおれの腕を見ていた目がおれを見上げてきて固まる。どうして、と聞かれたら、よくわからない。なんとなく、お前に何かをあげたくなって、島に着いて一番最初に見つけた店に適当に入って店員に言われるがまま口紅を選んで、それで大量のそれに混乱して戦略的撤退をしてきた。
「……いらねェか」
理由を答えられなくて、質問とずれた言葉を返したおれに散々逃げようとしていた女の足が一歩おれに近付いてなぜだかたじろぐ。
「ほしい。……でも、ゾロが選んで」
「……なんか、肌に合う色とかあるって言ってたぞ」
だから余計に選べなくて困ったのに。
「似合わなくてもいいから、ゾロが選んだのが欲しい」
まっすぐ放たれた言葉に、なぜだか逃げ出したくなって目を泳がせた。
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