タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/05/28 スモーカー
離れないで、離さないで・柔らかな癖毛・恋をしましょう
※なんでも許せる人向け
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「髪の毛切った?」
「ああ、」
暑かったからな、と頷く前に一歩懐へ近付いてきて思わず口籠もる。近くねェか。いや、そんなこともないか。……いや、近いだろ。確信を持った瞬間、手が伸びてきて目を見開く。
「おい、危ねェ」
手の目的地がわからないが万が一にも葉巻にぶつからないように頭を引いて叱りつける。ガキじゃあるまいし。ガキじゃねェからこそ下手したら届いてしまいそうな距離感に今更ながら眉を顰めた。どこか輝いていた目がおれのせいで萎んだことに罪悪感を覚えそうになったが、元はと言えば距離感のおかしいこいつが悪いと思い直す。
「そこ、触ってみたい」
「あ゛ァ?」
「髪の毛のここ」
おれに伸ばしてきていた手で自分の耳横に触れる姿に呆れ返る。
「お前誰にでもそんな風に触ろうとすんのか」
「? 私の周りでその髪型、スモーカーくんしかいないよ」
だからどんな感じなのか触ってみたいのに、とまたガキのようにぶすくれた女に頭を抱える。
「そんなに嫌だった? ごめんね」
長いため息に叱られたガキのようにしょぼくれてようやく手を下ろした姿にどう返すべきか思考を巡らせる。このまま放置すれば諦めてくれそうだし、こいつの周りにおれと似たような男が存在しないことはさっきわかった。だが、これから先現れないとも限らない。おれに断られたからと未来で何処の馬の骨か知らない男にさっきのように触れようとする姿がぼんやりと頭に浮かんで腹の底が煮えくり立った。反省したのか、それともただ落ち込んでいるだけなのか、俯いた女に手を伸ばす。手入れもせず傷みまくったおれの面白みのない髪なんかよりよっぽど艶めいていて手触りのいい髪を掻き分けて、さっき女が自ら示していた耳横を指で撫で付ける。跳ねるように顔を上げてまん丸い目でおれを見上げる様子にようやく溜飲が下がって口角をあげた。ほらな、驚くだろ。
「わ、わ、な、なに、」
「お前だって触られたらそうなるだろ、あんまり無闇矢鱈に人の頭に触ろうとすんじゃねェよ」
わかったな、と念を押そうとして、手を払いのけられて口を噤む。おい、そんな嫌がらなくてもいいだろ。お前からやろうとしたんだぞ。おれからは駄目なのか。悪かったな、と肝を冷やしながら謝ろうとして、また先に言葉を取られた。
「わ、私はそんなえっちな触り方しないもん!!」
「……………………そんな触り方はしてねェ!!」
何を言われたのかわからなくて固まったおれが再起動してどうにか叫んだ時にはもう女はその場にいなかった。
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