タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2025/07/03 ロー
逃げられないならぶつかるのみ・君の存在が苦しい・手招きする指の美しさ


「同盟は終わりなんだって?」

 みんながどんちゃん騒ぎをしているのにどこか顔を顰めながら腕も足も組んで座っていたローを見つけて近寄った。チッ、と舌打ちをされて笑う。

「知ってるんなら近寄るな」
「でも勝手にローが言ってるだけだし。うちのキャプテンはローのことずっと友達だと思ってるから無理だよ」

 さっきよりも苛立ちのこもった舌打ちが炸裂してけたけた笑う。あは、かわいそう。悪ぶってるくせに優しさが滲み出てるから、本質を掴み取ることが得意なうちのキャプテンに好かれるんだよ。本当に同盟を解消したいなら舌打ちなんて甘っちょろいことせずに、出会い頭に私に刃を向ければ良かった。解消したフリしかできないからみんなローに構いにくる。言葉通りに受け取るチョッパーだけがきっとしょんぼりしてしまうだろうけど、きっとそんな姿を見てローも一人でやりすぎたかなんて落ち込むんでしょう。もう馬鹿みたいな駆け引きはよして、仲良くすればいいのに。誰もそれを邪魔したりなんてしないから。

「どうしてそんなに悪ぶるの?」
「ぶってんじゃねェよ、海賊に何言ってんだ」
「ドレスローザに行く時よりは明るくなったからまあいいけど」

 柔いところを刺した自覚はあるけど、思った以上に言葉に詰まらせてしまってちょっとだけ申し訳なくなる。そこまで傷つけるつもりはなかった。あの時は事情を知らなかったけど、今より無鉄砲で、ずっと張り詰めてて、こんな冗談を言える空気ですらなかった。どうにか生きる気力を残してほしくて未練を作ってあげたくても、長い付き合いのある大事な仲間を別の場所に置いて覚悟を決めきった男の人の生きる希望になる未練の作り方なんてわからなかったから。あの頃のローは何もかもを置いて一人突っ走るから心配だったけど、大事な仲間たちにきっとたくさん叱られて、ルフィのような生き方を一瞬でも浴びて知って、今のローはきっと未練だらけで心配することなんてない。航路が別れてもきっとたくさんのことを思い出して生きてくれる。同盟は解消だなんて悪ぶるだけで律儀に全部返事をしてくれるのが良い証拠。

「さみしいな、もうちょっと一緒に旅しようよ」
「しねェ」

 ちぇ、と今度は私が拗ねた音を出す。ふん、と鼻で笑われて、唇を尖らせた。そんなに即答しなくたっていいのに。

「やり残したこととかないの? チョッパーともうちょっと医学の交流会とかしたらいいじゃない」
「もう充分面白い話は聞き出せた」
「ナミちゃんの航海図なくて平気?」
「おれの船は潜水艦だ、勝手が違う」
「サンジくんのご飯、もうちょっと食べていったら?」
「おれたちでも簡単に作れるレシピをもらった。お前たちは本当に呆れるほどお人好しだな」

 嫌味ったらしく言われたって、結構みんなと仲良くしてる返事だから笑ってしまいそうになる。寂しいけど、仕方ないな。あの時みたいにもう二度と会えないような刺々しさはもうないし。

「じゃあ私とは最後にちゅーでもしとく?」

 こんな軽口を叩いても大丈夫なくらい心の余裕ができたはずのローに笑いかける。舌打ちをされるか、鼻で笑われるかを期待したのに、どちらの音も聞こえなくて首を傾げて見上げる。

「死ぬまで諦めなくてもいいならするが」