タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2025/07/21 ロー
逃げ出す道すら崩れ落ちて・長い睫毛に一滴・真綿より両手で
※夢主が暴力を振るいます
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好いた女がどこぞの馬の骨に絡まれてるのが視界に入った瞬間、頭に血が上った自覚はあった。ナンパでもされてるのか、鬱陶しそうに払った左手首を不躾に掴まれ痛みに顔が歪んだ表情に、箍が外れた。ゴミを排除するよりこれ以上大事な存在が傷付けられる方が嫌で、あの男と自分の位置を反射のように入れ替えて、目の前に星が散る。
「────エッ?!」
「いっ、てェ……?」
何が起こったのか、血が上り切った頭じゃすぐには判断できなくて反応が鈍る。今何が起こった? 不埒な男に絡まれて手首を乱暴に掴まれているのを見つけて、それから男と自分の位置を入れ替えて、それから、それから……、頬をぶん殴られた? 誰に。目の前で目を白黒させている好いた女に。しかも平手じゃなく、握り込んだ拳の形をしている手が視界に入る。口の中に血の味が広がって、思わず笑う。
「お前、すごいな。よくやった」
「なん、なんでローが、え??」
そうか、そうだな。懸賞金がかかってるようなやつに襲われているならまだしも、ただの男に曲がりなりにも海賊をしている女が負けるわけがない。おれの頭に血が上るのと同じように、当事者が図々しい男に腹が立つのは当然で、先に無体を働こうとした男相手に拳を振り上げるのだってもちろん当たり前で、おれが邪魔しなければここにその男が昏倒していたはずだった。余計なことをしてしまった。急に現れたおれに混乱し切っているのを横目に、同じように混乱している男を睨みつけて刀を振るう。幸いにもおれたちを隔てるものは何もなく、真っ二つにできた。まあ星が散るような痛みはないが、精神的に驚き過ぎるせいで昏倒しているはずだ。経緯は違うが、結果はとりあえず揃えた。
改めて目の前でまだ混乱している女を見下ろして緩みそうになる頬が痛みで引き攣って、思いがけず助かる。
「邪魔して悪かった、ついカッとなっちまった」
「ど、どう、ろー、ごめ、ごめんね、大丈夫?」
男が無理矢理掴むことしかできなかった手がおれの頬に伸びて恐る恐る心配してくれるから優越感にまた頬が緩みそうになる。だがおれの頬なんかよりお前の肌の方が心配だ。乱暴に掴まれた手首の診察をしようと頬に添えられたそれに触って手首を見る。あざとかにはなってないな。よし。じゃあ次は反対だ、おれの頬を思い切りぶん殴った手に移動しても、動転しているのかされるがまま触れられるから心配になる。指の関節に擦り傷もできてないし、変な腫れもない。とりあえずは良かったと、名残惜しくなりながら手を離して視線を戻す。
「私より、ローだよ、ね、血、出てるでしょ? 出てるよね? 思いきり殴っちゃったもん、ごめんなさい、痛い? 痛いよね、どうしよ、チョ、チョッパー、呼ばなきゃ」
「おれも医者だから呼ばなくていい。なァ、気にするなよ、邪魔したおれが悪かったんだ。でもそうだな、……お前が殴りたかったのはあいつだよな、……一発殴りに行くか?」
わさわざもう一度この指を痛めないでほしいが、殴る気だったのに邪魔して消化不良になったのは申し訳ない。それで気が晴れるなら見守ろうと思ったのに、頭を左右に振って半分になった物体を少しも見向きもせずおればかりを心配する姿に複雑な気持ちになる。
「ごめんね、」
「次謝ったら口を縫う」
「……そんなことしないくせに」
尚も謝り続けようとするから脅したのに、困ったように笑いながら言われておれの方が気まずくなる。
「ありがとう、助けにきてくれて」
「……何もしてない」
寧ろ邪魔した。が、そこまで言えばまた謝ろうとするだろうからと口を噤んだ。
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