タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/04/06


「エースは服、間違えて燃やしちゃったりしたことある?」
「……まあ、慣れてなかった頃はやったな」

 そうなんだ、と服が燃えて大慌てしているエースを想像して思わず笑う。今では能力をこんなに使いこなしてエース専用のストライカーまであるのに。エースの船に乗ってみたいと駄々を捏ねて捏ねて捏ねまくって押し切った結果ようやく乗せてもらえた結果のせいか、未だにエースは機嫌が悪そうにムスッとした表情をしていてくすくす笑う。エースが足元でボンッと火を燃やして、私はそのエースの火に巻き込まれないよう帆柱が建っている場所に立たせてもらっている。機嫌が悪くてもちゃんとマストに掴まっとけよ、と面倒見の良いエースの背中に、はーいと元気に返事をした。

「最初は感情が昂るだけで制御ができなかった」
「今でもびっくりしたりしたら燃える?」
「ちゃんと制御できるように練習したし今じゃンなヘマしねェよ」

 ハハッ、とようやく笑ってくれたエースに私の気分も最高潮になる。だってこんなにいい天気で、エースとふたりきりで、船上デートだ。まあデートだと思ってるのは私だけ。エースからしたら大の大人である私が駄々を捏ねまくった結果無理を押し切られた形だから、私の見目がいくら大人でも言動でわがままな女の子のお願いを聞いてあげるお兄ちゃんだと思って接してくれてそうだけど。
 それでもこの綺麗な空と、綺麗な海を大好きな人と二人で駆け抜けられたんだから私の駄々も良い仕事だったと思う。エースの機嫌も良くなってくれたしこれで楽しいデートの完成だ、なんて浮かれていた瞬間、ガコンッ、とストライカーが流木か何かにぶつかったのか船ががたついて体が浮く。

「きゃッ!」
「ウワッ!」

 思わず帆柱から手を離して目の前のエースの背中に飛びついた。だって帆柱よりエースの背中の方が安全だと思ったから。それなのに、奇襲をかけられても驚くこともなく、どんな敵に迫られても押し負けることなんてないエースが私と同じように悲鳴をあげて私如きの体重でふらついて思わず目を見開く。ボンッ!!と大きな音が立ったかと思えばばびゅんっ!!とストライカーがとんでもないスピードで海を駆け出してとんだ絶叫マシーンが完成してしまった。エースの背中にしがみついて肩に顎を乗せて必死で抱きつく。

「練習したから燃えないって言ったじゃんんん! 止めて止めて止めて止めて!」
「好きな女に抱きつかれて乗る練習なんかしたことねェ!」