タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/04/07


「お姉さん、おれが大きくなるまで待っててくれる?」

 十歳くらいの男の子の小さな、だけどしっかりと意志を貫き通す強い目で見つめられて困ってしまう。閉ざされた島にいた男の子が、よその島から来たお姉さんが新鮮で惹かれる気持ちはわかる。わかるけど、私にとって君はただの子どもで、意志が強い目に困ることはあれど気持ちが揺らぐことは全くないからどうすればいいのか困ってしまう。断る一択なのだけど、断り方をどうすればいいのかがわからない。脆く柔い思春期の心を傷付けず、だけどきっぱり気持ちを断ち切れるような言葉が何も思い浮かばない。きらりと輝く瞳は私が困っていることにチャンスがあると期待しているみたいだけど、断り文句に困っているだけで君にチャンスがあるわけじゃない。罪悪感に痛む胸をおさえながらどうにか思考を張り巡らせる。

「付き合ってる人いるの?」
「いや、……いないけど……そういうことじゃなくてね」
「じゃあいいじゃん!」

 打たれ強い。真っ直ぐすぎる。思わず苦笑いが浮かぶ。

「好きな人いるの?」
「いや、……」
「すぐ答えられないってことはいても大したことない男だし、いないならおれでいいじゃん。おれ大きくなるまでに勉強も頑張って、海賊のお姉さんのこと守れるくらい強くもなるし、そんで世界で一番お姉さんのことが大好きだから、おれ、お姉さんにとって世界で一番良い男になるから、いいでしょ? 待っててよ、お願い」

 あまりにも熱烈な勢いに思わず頷きそうになってしまう。いや、なんかもう、もともと大きくなって世界が広がれば小さな頃の恋なんてあたたかくほほえましい思い出になるのは普通だし、こんなに努力してくれるらしい男の子なんだからきっと本当に良い男になるだろうからそんな良い男のそばにはきっと私なんかよりよっぽど素敵な人がたくさん集まるわけでこの淡い恋のことなんて泡のように忘れるだろうし、もうここで適当にうん、って言っといても、なんて無責任な発想が浮かんでしまう。いやいや、だめだめ。ここはちゃんとこの子の気持ちに向き合って大人としてごめんねと言わなければ。

「ねえ、お願いってば」


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