タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2025/09/25 ロー
ひた隠した思いが裏目に出て・情熱の在り処・置き忘れた仮面
※ボツ


「どうしてそんな素敵な文化があるって教えてくれなかったの?」
「あ?」
「私もローとガルチューしたい!」

 ぱっと腕を広げて放たれた言葉に固まる。今こいつなんて言った。私もローとガルチューしたい? ガルチューってあれだろ。ベポもよくしてくる、ミンク族特有の頬擦りをする挨拶。冬島の時にはもこもこの毛が温かく、夏島の時は暑苦しく感じるほど密着する挨拶。それを、したい? 誰と誰が。おれとお前で?

「……いや、駄目だろ」
「どうして?! ベポくんとはよくやってるのに!」
「ベポはミンク族だろ」

 そう、そうだ。ミンク族特有の挨拶だ。おれ達は人間族だろ。いや人間族でも文化の違いでスキンシップの多い場所はあるだろうが、お前は別にそういう文化で育ったわけじゃないだろう。だからこそ素敵な文化とやらを言い出して目を輝かせているのは分かってるが、分かってるからこそ、焦る。おれとそういう挨拶をしてもいいくらいおれのことを好意的に思ってくれているのは確かに嬉しいが、だからこそ駄目だ。

「人間の男女でそれは違う意味になる」
「……違う意味?」
「ミンク族の挨拶は、人間同士だとだいたいはその、恋人や家族の距離感だろ、まあ例外はあるだろうが、一般的に、」

 断る言葉にどんどん目の前の輝く瞳が悲しそうに揺らぐからどんどんしどろもどろになりつつ小さく呟いて謎の罪悪感に胸が痛む。別にお前のことが嫌いってわけじゃねェ。寧ろ逆だからなんとか宥めたいのにどんどん陰る表情にもう何も考えずに腕を広げたくなってしまう。

「……私もミンク族だったらよかったのに」

 悲しみにくれた言葉が聞こえた瞬間、考えることはもうやめた。