タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2025/10/26 ロー
残された希望・君を喰らわば毒まで・君だけが希望
※夢主の暴力表現
※ボツ


「ま、まだ殺してない!」

 武器にでもしてたのか鉄の塊のような棒を投げ捨てた瞬間、肉塊にぶつかってそこから呻き声が聞こえたから供述通り確かに殺してないのだろうなとわかってとりあえずほっとする。かろうじて人の形を保っているだろう男が、逃げようとしたのかずりずりと這う音が静寂の中響いてつい視線を向けた瞬間蹴りを入れたのが見えてゆっくり視線を戻して見なかったふりをした。

「こ、殺してないよ、ほら、生きてる、」

 呻き声が何度か聞こえるが、それがどうして聞こえるのかは足元を見ていないからわからない。麦わら屋たちの中でまだ常識的な方の女の凶行に混乱する。海賊とはいえ普段はゾロ屋や黒足屋の後ろに隠れて怯えている暴力とは無縁の女が、どうして海賊らしい惨状を繰り広げているのかがわからない。

「何かされたのか」

 殺してない、生きてる、と同じことを何度も繰り返していた口がきゅっと閉じられて眉を顰めた。足早に近付いたおれに驚いたのか後退ろうとした女の手首を逃さないように捕まえてじっくりと視線を不躾に投げつけて確認する。鉄の塊を力強く握りしめて殴りつけていたからか、手のひらの皮が真っ赤に擦れてところどころ血が滲んでいるが、それ以外の外傷は特になさそうで胸を撫で下ろした。

「……酷いことを言われたのか」

 何かされていたのならわかるはずだ。でもそれはなさそうで、じゃあ、何かよっぽど酷いことを言われたのかと言葉を投げた瞬間、ぼろりと大きな水滴が目からこぼれ落ちて衝撃に喉が鳴る。思い出すだけで泣くような酷いことを言われたのかと焦りながら、言いたくないなら何も言わなくていい、と言葉にしようと口を開く前に震える息が聞こえたから先に聞く姿勢に入った。

「……き、きらい、にならないで、」

 ひぐ、と喉を鳴らして言われた言葉の処理に時間がかかって、その間にもぼろりぼろりと大きな涙が目からこぼれ落ちるから更に思考がまとまらない。

「なんでそうなる、……おい待て逃げるな、違う、お前に言ったわけじゃない、」

 嫌いにならないで、と言われたのをようやく理解して、言葉を理解できても意味が理解できなくて変わらない状況に、これ幸いと逃げようとしたのを見つけて怒鳴った。それを自分に言われたのかと思ったのか涙の粒が増えて慌てて弁解する。違う、お前にあんな冷たい音をぶつけたことはないだろ。

「泣くな、……いや、泣きたいなら気の済むまで泣けばいいが、もしその涙がおれのせいなら、おれはお前を泣きやませたい、……おれが怖かったか? 責めたように聞こえたか?」
「……こんなとこ、みられて、お医者さんの、ろー、に、きらわれたくない、ごめんなさい」

 ひ、とまたしゃくりあげながら泣く姿に固まる。

「……嫌わねェよ、……お前が何の理由もなくこんなことするとは思ってない」

 緩やかになった喉の引き攣りにほんの少し安堵した。