タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

← →
2026/06/01 クロコダイル
月を見る猫・指の隙間から零れ落ちるのは・泣かないで、愛しい人

▼
「誰に泣かされた」

 その声に驚いて振り向いた瞬間大きな壁にぶつかって、ふぎゃ、と変な声が漏れ出た。鼻が潰れるかと思った、なんて思いながら顔を上げて、固まる。壁かと思ったものは、クロコダイルさんの立派な腹筋で、それから見上げた先の顔は、本当の本当に怒っている時の顔。ひゅ、と、息を飲んで、逃げたいのにその威圧的な空気に足がすくんで逃げられない。手が伸びてきて、消される、と思って目をぎゅっと閉じて肩をすくめたのに、頬にざらついた皮膚が触れて固まる。そ、と目を開ければクロコダイルさんが私の頬に大きな手を添えていて瞬いた。

「言え、誰に泣かされた」

 さっきも聞いた言葉が再び上から降ってきて、ようやく自分が泣いていることに気付く。

「……だ、だれ、っていうか、その、」
「言え。消してきてやる」

 真っ直ぐに降ってくる殺意は私に向かってるわけじゃなくて、私を泣かせた何かに向かっていることに気付いてようやく肩の力が抜けて、思わず頬が緩む。

「私が殺されるかと思いました」
「…………お嬢さんががおれをどう思ってるかよくわかった」

 頬に添えられていた優しかった大きな手が、ガッと私の頭を掴んで、ひぎゃッと叫ぶ。私のお口が余計なことを口走ってしまったばっかりに!!

← →