タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/03/07
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ロビンちゃんが今日は星がたくさん見れるわよ、と囁いたのがきっかけだった。それを聞いたルフィが調子良く宴だと叫んだから流星群パーティを盛大に開いたのに、メインの星が流れる前に潰れた呆れた参加者どもを片付けて、微かな気配に期待を覗かせて戻ってきた甲板には予想通りレディがひとり。夜空を見上げていた視線をおれに向けて声をかけてくれてだらしなく頬が緩む。
「サンジくんは願い事は何にするか決めた?」
「麗しのレディがこの胸に飛び込んできてくれたら良いのになァ、って」
ナミさんやロビンちゃんと一緒に女部屋に戻ったかもしれないと思っていたからとても嬉しくて、ほんの少し酒にも酔った脳内が思わず浮かれて欲望のままに願い事を口に出してしまう。やっべ、引かれてねェ? レディの様子を伺っても特に引いた様子もなくくすくす笑っててホッとする。その笑顔に勇気が湧いていつもよりほんの少しだけ距離を詰めてレディの隣にそっと座る。近くなった距離でもレディの柔らかな笑みは崩れなくてそれにまた安心して頬を緩めた。
「麗しのレディにもいろんなレディがいるでしょ? どんな子?」
びし、と緩んだ頬が引き攣るどころか固まる。
「えっどんな子っておれ君の目見ながら言ったよね?! 君の目見ながら別のレディ思い浮かべるクズだと思われてる?!」
そりゃおれはめちゃくちゃ女性に弱い自覚はある。あっちにふらふらこっちにふらふらしてるところも散々見られてきている。だからまあ信用がないのも理解はしてるけど、ふたりきりで目を見つめ合いながら紡いだ甘い言葉が場外に投げ飛ばされてしまっては立つ瀬がなさすぎる。……日頃の行いが悪い自分のせいだとしても。
「私でもいいの?」
おれの勢いにきょとんとする表情はかわいいけれど、本当に全く伝わっていなかったこと唇が震える。
「でもってなに?! 君、が! 良いんだけど!!」
君、が! と強調しても尚も不思議そうに首を傾けるから、思わずちびナスと呼ばれていた頃すらしたことがない甲板に背中から倒れ込んで大の字になって泣き喚いた。もうドン引かれてもいい。大の大人がこんなことしでかすくらいには本気だってわかってもらえるならドン引きされても構わない。
「だって流れ星にお願いすることだよ?」
ひんひん泣き喚くおれを目を丸めて見下ろす姿は可愛いけど、全然信じてくれていない様子にさらに涙がどぱどぱと溢れ出る。不思議そうに首を捻りながら膝を甲板に擦り合わせて寄ってきてくれたレディがびちゃびちゃなおれの顔を指でぬぐってくれる。優しい。触れてくれる指に嬉しくなるけど、悲しい気持ちはおさまらなくて涙が止まらな、
「もっと特別なお願いしなくちゃ」
い? まって。レディ。その言い方だと。
ひゅ、と息を呑んで暴れていた体も固まって困ったように笑うレディを涙に潤む視界でただ見上げる。
「それくらいならいつだってしてあげられるもの」
ほら、起き上がって、と優しく腕を引かれる。呆然としたまま、それでも期待に疼く体は勝手に起き上がって甲板にまたすとんと座って。あぐらをかいた膝の上に、ふわ、とやわらかくて、あたたかくて、いいにおいのする、レディ、が。ぎゅ、と優しく抱きしめられたのに息が詰まってあまりの衝撃にまたばたんと後ろへひっくり返る。わ、と首筋に驚いた吐息がかかって目を瞠る。夢、じゃ、ねェ? レディがおれを抱きしめてくれている。倒れたおれの上にいる。
「願い事、何にする?」
くすくす笑うレディの息が首をくすぐって、何も答えられない。視界に映る夜空には流れ星なんてまだひとつも流れていなかった。
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