タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/04/25


「こらっ!」
「ぎゃっ! わっ、怒った顔もかわいい! おはようレディ」

 びょんっ、と飛び上がるほど驚いたサンジくんが振り向いて私を認識した瞬間またもう一度驚きながら褒め称えるから、怒りのパラメータが呆れのパラメータに切り替わる。それでも、怒ってますよのポーズは変えずに仁王立ちでサンジくんを睨む。いつも通り朝ご飯の仕込みをしているサンジくん。だけどいつも通り黒いスーツにエプロンをしている姿じゃなくて白い包帯まみれのサンジくんは保健室のベッドで安静にしていなきゃいけないはずで、楽し気にお鍋をくるくるとかき混ぜていている脱走犯は現行犯逮捕だ。
 むむ、と表情をこわばらせて睨み付けてもサンジくんは幸せそうにくるくるお鍋をかき混ぜ続けていて、ベッドに寝転んでいた時の蒼白な顔を思い出して安堵に頬が緩みそうになるのを堪える。ベッドで安静にしてる時よりよっぽど幸せそうで元気な姿に絆されてしまいそうになるけど、サンジくんが一流のコックさんなのと同じように、チョッパーだって見た目は可愛らしくても凄腕のドクターで専門職の言うことは蔑ろにされるべきじゃない。心を鬼にして幸せそうに私たちの朝ごはんを作ってくれているサンジくんに詰め寄る。

「サンジくん、絶対安静だって言ったでしょ?」
「ごめん、でもほら、みんな腹減ったろ?」

 サンジくんに詰め寄ればくるくるかき混ぜているお鍋の中身だけじゃなくて、短時間の脱走でどれだけ作ったのかたくさんの料理が視覚からも嗅覚からも伝わってきてお腹の音で返事をしてしまう。うぐぅ、でもこれは仕方ない。ウチの船のクルーたちはみんなサンジくんの料理に胃袋をがっつり掴まれてるんだから。それでもどうにか顔を引き締めてサンジくんの顔面に指を突きつける。

「サンジくんのご飯は確かに毎日でも食べたいし、サンジくんの幸せを取り上げることもできることならしたくないけど、絶対安静は絶対安静でご飯も作っちゃダメなの!」
「毎日?! それって、それって……プロポ、」
「真面目に! 聞いて!」

 暖簾に腕押しのサンジくんに、もお!と思わず地団駄を踏んでしまう。へら、と困ったように笑って、かちりと火を止めたサンジくんの額をつんつく突いて怒りを表明する。この、一流のコックさんめ。全部作り終わっちゃったんでしょ。もう。盛大にため息を吐いて額を突いた手で今度はサンジくんの手を掴む。

「ベッドに戻るよ」
「朝メシ、みんなで食べて」
「……美味しくいただきます。……怒ってるんだからね、わかってるの?」
「うん、ごめんね、ありがとう」
「明日の朝ごはんはサンジくんも一緒だからね、その為には今度こそちゃんとベッドで安静にしてて」