タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/04/26


「可愛い」
「ん? 待っておれ今レディばっか見てたから見逃したごめん何が可愛かった?」

 不甲斐なさすぎるおれのことをくすぐったそうに笑って許してくれるレディの寛大さに心打たれながらレディが眺めていた海を慌てて見やる。今日は海底が見えてしまいそうなほど透き通った綺麗な海域で、レディが眺めていたあたりの魚や珊瑚を視界に入れてレディのお眼鏡にかなった可愛い何かを探す。んん、わかんねェ。レディが可愛いと言った何かも大事だけど、せっかくレディと過ごせているのにレディから目をそらすのももったいなくてまたレディに視線を戻せばにこにこと楽しそうに頬を緩めていておれの頬もだらしなく緩む。

「もういなくなっちまったかなァ。ごめんね、レディ、また見つけたら教えてくれる? 今度はちゃんと一緒に見たいからさ」

 レディから目を離すのはもったいないけれど、それでもレディが目に映すものをおれも共有したくて次の機会があれば次こそと気合を入れ直しつつお願いする。

「いなくなってないけどサンジくんが見るのはちょっとだけ難しいかも」
「?」

 なのに謎かけのような言葉を紡いだレディに首を傾げる。ミステリアスなレディも素敵だけど、できることならレディの全てを理解したくて頭を働かせる。いなくなってないけど、おれが見るのは難しい? また、ちら、とさっきレディが視線を落としていたあたりの海を眺めてもやっぱり可愛いと評される何かは見つけられなくて首を傾げる。どういうこと?とレディに視線を戻せば穏やかな笑顔を向けられて、考えていたことも吹っ飛んでいきそうな可愛さに目が眩む。おれが見つけられる今この場にあるW可愛いWはレディだけ。

「ほら、すごくかわいい」
「──……へっ?」

 レディがまたうっとりそう呟いて思考が弾ける。間抜けな声が漏れてその対象を探そうにも、レディは今おれとずっと目を合わせたままで、

「さっきはサンジくんの表情が海に反射してよく見えたの」

 レディがちら、と視線を落とすからおれも釣られて視線を動かす。きらきら光る海は確かに鏡のようにレディとおれを映していて、海越しにまたパチンと目が合う。

「私のこと大好きだァ、って見てる表情がね、すっごくかわいいの」