タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/04/29
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「プロポーズって一回しか聞けないのもったいないと思うんだよね」
いつものように跪いて花束を差し出して思わず溢れたいつもの愛の言葉を聞いたレディがしみじみと呟いた言葉に首を傾げる。傾げた隙にレディが花束を受け取ってくれて、華やかなレディがさらに美しく彩られたことに満足して何を言われたか一瞬忘れそうになって気をしっかり持つ。
「レディだったら数多のクソ野郎どもにめちゃくちゃプロポーズされるのにどうして一回なんて謙虚なことをいうんだ、謙虚なレディももちろん素敵だけど」
おれ以外のクソ野郎がレディに跪いて愛を乞う姿を思い浮かべたせいでこめかみは引き攣り苛立った声が零れ落ちたけど、魅力的なレディがプロポーズの言葉を一度しか聞けないと思い込んでいる謙虚な姿勢には心打たれてときめいてしまう。かわいい。
「あっ、で、でもこれからは一回どころか二度と聞かせられないかもしれないごめん……」
「?」
「だ、だっておれが邪魔するし……」
「自覚はあったんだ」
過去のことは知りようもないし知りたいけど知りたくないし、だけど今レディの隣に立っている野郎はいないという事実だけを胸に抱えて、これからのことに口を開く。これからはおれが目を光らせるからレディに邪な気持ちを抱く人間は近寄れない。近寄らせない。花に顔を近付けてにおいをかいで頬を緩ませる姿に可愛いなあと思いながらも申し訳なさにもじもじしてしまって告げた言葉はさらっと受け止められて手持ち無沙汰に動かしていた手がぴたりと止まった。
「別にそれはいいんだけど」
「いいの?! ありがとう遠慮なく蹴り飛ばしていくね!」
わあい、と思い掛けず許可を貰えたことに両手を上げて喜ぶおれを見てレディも楽しそうに笑ってくれるから更にとろける。嬉しい。これからも全力で邪魔しよう。
「サンジくんは?」
「んへへ、ん??」
「最初から他の人なんかどうでも良いんだけど、サンジくんはプロポーズしてくれないの?」
「へ」
でへでへくねくねと喜び続けるおれを見ても呆れたりせずにそばで付き合ってくれるレディから放たれた言葉にまたかちこちに固まる。え、おれが、レディに?
「……したく、ない」
そりゃレディにプロポーズして頷いてくれるならなりふり構わず今すぐ土下座だってするけど、だってレディはプロポーズが一回しか聞けないのはもったいない、って言ってて、ということは何度も聞きたいということで、頷くんじゃなくてフラれて、それでもう一度、……そんなの、フラれるってわかってて言うのはいくらおれでも苦しすぎる。プロポーズ一歩手前の言葉を何度も受け流されてるんだから変わらないだろうと思われてるのかもしれないけど、さすがにプロポーズをフラれるのは考えただけでも死んでしまいそうなほどに傷付く。だから、レディのお願い事はなんだって叶えたいけど、もう少しおれの心臓が鍛えられてからでないとフラれる前提のプロポーズはできないよ。
「どうして?」
「ふ、られたく、ねェ、から」
なのにレディはわかってくれない。おれが軽いから、軽く見えるから、プロポーズくらい簡単だろうと思われてるんだろうか。レディに捧げる言葉はいつだって本気で、おれの真心で、本当に好きだから、好きな人にフラれるってわかっててそんなことしたくないのに。
「私は断らないのに?」
「え? ……え? でも、でもだって、」
「サンジくんからプロポーズされたらすぐにでも頷きたいし結婚したいけど、サンジくんのプロポーズの言葉が一回しか聞けないのはもったいないから、何回でもしてくれたらいいのになあ、って話だよ? だめ?」
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