タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/01
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「おはよう」
「……おは、よ」
ダイニングの扉を開けばどろどろに甘い声が否応なく耳に流し込まれて覚悟していても言葉に詰まる。サンジくんは朝に弱い。サンジくんの生活リズムはひとえに努力の賜物で、重たい体を引きずって覚めない頭でただみんなに美味しいご飯を食べてほしいというその純粋な気持ちだけで頑張ってくれている。だから朝だけは、サンジくんの嘘偽りない姿が見える。普段の姿が嘘なわけじゃない。ただサンジくんは本音を隠すことが上手で、行動だけを見れば結局優しいのにその優しさを言葉巧みに操って粗暴な印象になるだけで。だけど朝だけは、脳がきちんと働かないのか男の人相手にだってチンピラが鳴りを潜めてしまう。夜の見張りで寝ぼけ眼を擦りながら頑張ってくれた功労者に、いつものようにからかいまじりの言葉じゃなく労るだけの優しく甘い言葉と暖かく美味しい飲み物を差し出される。男の人相手でもそうなるのだから、女の人相手にどうなるのかなんて誰でも想像できた。眠たい体ではいつもの行動ができずにただただ愛しいという気持ちだけが吐露されて、普段のすけべな欲望よりもまっすぐな愛がぶつけられる。
「レディは今日もまぶしいね」
それはたぶん普通にダイニングの扉を開いた結果太陽の輝きがキッチンにまで届いて目が眩んでるだけだと思うけど、幸せそうに微笑みながらキッチンの中を忙しなく動くサンジくんに訂正することはできずにへらりと笑う。
「いつもかわいいけど、朝が一番くらくらする」
眩しいからだろうね。扉を閉めて太陽の光が届かないように遮ってもまだ目がしぱしぱするのか何度か瞬きながら幸せそうに笑うサンジくんに近付いてカウンターに座る。朝に弱くたって完璧な一流コックさんはあの短いやり取りの間に、もしくは来る前から準備を始めてくれていたのか、ことんと目の前にコーヒーが差し出されてありがとうと口にする。どういたしまして、と頬を緩ませるサンジくんはいつものように目をハートにすることはないのに幸せを煮込んだような甘い声と表情で私を見つめるから、朝のサンジくんは目に毒だ。だけどつい、会いにきてしまう。だってサンジくんの貴重な本音を皮肉も賛美も纏わずそのまま聞ける時間だから。愛情たっぷりの朝ごはんが出来上がるのを愛情たっぷりのコーヒーを飲みながら待つのが幸せで、なんて贅沢な毎日なんだろうと頬を緩めた。
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