タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/04
⚠️ゾロがとにかく可哀想


「ゾロちょっとめんどくさいよ」

 ちょっと、なんて言いつつちょっとなんて全く思ってないひどく面倒くさそうな表情だった。それが思いの外刺々しくて思わず口籠って視線が泳ぐ。掴んだ手を反対の手で引き剥がされて空になった手をぎゅっと握り締めて下に降ろす。鬱陶しいと言わんばかりのため息に泳いだ視線も地面に落ちた。

「私が誰と遊びに行くとかどうしていちいち報告しなくちゃいけないの」
「お前が、ふらふらしてっから、だろ」

 次いだ言葉にようやくやっと言うべき言葉を紡げてほっとする。そうだ、お前がふらふらしてるからだろ。お前が悪い。陸に降りればコックのように誰彼構わず呑気に話をしてふらふらとおれの目の届かないところへ行くから。なんでおれが手を払われたりため息をつかれなきゃいけないんだ、心配かけるお前が悪いのに。悪いことをしてるのはお前で、おれは忠告をしてるんだから口籠もったり視線が泳いだりする必要はない。そう自信を取り戻して顔を上げた瞬間、その冷めた目に一瞬で自信が解けてじり、と後退りそうになる。なんだよ、その目。

「私がふらふらしてたとして、それがゾロになんの関係があるの」
「は、? それは、だから、危ねェだろ」
「……私のこと舐めてるの? そりゃあゾロよりは弱いけど、私だって麦わらの一味でここまでやってきたし、何が危なくて何が大丈夫かの判断くらいつくよ。そもそもあの人は大丈夫だよ、ゾロだって仲良く話してたじゃん。何が危ないの」

 そんなことはわかってる、お前が弱いと舐めてるわけでもねェ。そう言おうとして、今日こいつが出かける相手がようやくわかって口を閉ざした。この島ではじめて出会ったけど確かにあいつはいいやつだ。野生の勘が鋭いルフィだって気に入ってる。ロビンがおれたちに忠告してくることもなかったから、後ろ暗いところもない本当にただの良いやつなんだろう。それはわかってる。

「知り合ったばっか、だろ」
「良い人なのはみんなわかってるじゃん」
「でも、ふたり、なんだろ」
「だからなに」
「じゃ、あ、だめだろ」
「なんで」

 おれが必死で絞り出す言葉に次々と即答されてもとより口数の多いわけじゃないおれには思考が言葉に追いつかなくてまた口籠る。なんで、なんで、……なんで。最後に聞き返された言葉がぐるぐる頭を駆け巡ってどうしようもなくなる。あいつは良いやつだ、たぶん。もし騙されてたとしてもお前は弱くない、わかってる。でも、だめだろ。

「ゾロには関係ないでしょ、口出ししないで」

 黙り込んだおれに呆れたのか、最初の言葉通り面倒になったのか、もう一度ため息をつかれてから投げられた言葉を最後に背中を向けられる。どんどん離れていくあいつの背中を見ながら、その背中の向こうに待ち合わせでもしていたのかあの男の姿も目に入ってカッと頭に訳もわからず血が上る。口の中も、血の味がして合流する姿を見たくなくて無理矢理視線を引き剥がす。
 関係ない? 仲間なのに? 仲間でもだめなら、じゃあ、なにになれば口を出していいんだ。