タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/06


 本当はお姫様抱っこをするべきだとはわかっていたけど、プリンセス本人がおんぶをご所望になられたから背中にプリンセスを乗せて喧騒から逃れるために空を飛ぶ。ころころと楽しそうな笑い声が耳をくすぐるからこのまま天国にまで登ってしまいそうだけどどうにかグッと堪えて海の上を揺蕩うサニー号を目指して駆ける。いくらレディが空から舞い降りた天使でも今はまだ天国に帰られちゃ困るから。天使じゃないんだけどなあ、なんて謙虚に笑うレディは身も心も麗しくまさしく天使にふさわしい。早く降りてきなさいと凛々しい声が聞こえて声の方に視線をやればいつの間にかサニー号を通り越していて瞬く。天国に行かないように堪えるのに必死で目的地のことを忘れていた。

「ドワッ! ごめん!」
「んふふ気付いちゃった」
「え?!」

 キキーッ、と陸ならブレーキ音が鳴り響く勢いで、だけどレディに負担はいかないように謝りながら軌道修正をするも楽しげな笑い声が変わらず耳元を擽って首を傾げる。

「どこまでいけるのかな、って思って言わなかったの」
「れっ、レディが望むのならどこまでも!」

 おれの勢いに尚もくすくす笑うレディにいつだって準備は万全なのだとまた足を動かす。

「今日はみんなのとこに帰ろ?」

 レディの言葉に浮き立っていた気持ちがしおしおとしぼんだおかげでレディの言う通りサニー号へと足が勝手に落ちていく。優しいレディの言葉を勝手に都合良く受け取って舞い上がったおれが悪い。おんぶのおかげで目に見えてしょんぼりする姿をレディに見られないのが救いだ。

「今度時間がある時にどこまでいけるか試してくれる?」

 サニー号へどんどん近付いて、甲板に足をつけようとした瞬間耳に滑り込んできた言葉に足をも滑らせそうになって慌てて体勢を整える。今のはおれの都合の良い幻聴なんだろうか、確認しようとする間もなく、ぴょん、とレディが背中から飛びおりてナミさんやロビンちゃんのもとへ駆けていってしまったから確認ができなかった。