タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/08
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あ、と思わず声をこぼしてしまって気付かれる。地面に伏してしくしく泣いていたのはサンジくんで、しとどに濡れた顔が声をこぼした私の方を向いてばっちりと目が合って今度は頬が引き攣った。地面に転がって泣いてた理由は聞かなくてもわかる。どうせまたフラれたんだろう。大の大人が人目を憚らず地面に這いつくばり顔面を涙で濡らして恋に破れていたはずの男が、私を認識した瞬間に笑みを浮かべてくねくねと元気に立ち上がったものだから周りの通行人も驚きに目を見開いている。驚くかもしれないけどこの人はそれが通常営業なんです、なんて心の中で通行人に言い訳をした。くるくる舞い踊りながら私の前にまで辿り着いて私に対する賛美を口にするサンジくんにそれらを無視して笑みを浮かべる。
「今日は何回フラれたの?」
「エッいやっ、」
途端に頬を引き攣らせ誤魔化そうとする姿に呆れを通り越して面白くなって思わず本当に笑ってしまう。痴態を笑われてるのにも関わらず私が笑ったことが嬉しいのかサンジくんもへらへら笑い出してびちゃびちゃに濡れたままのサンジくんの頬にハンカチを押し当てた。
「えっへへへ」
ありがとう優しいねェ、とでれでれくねくねするサンジくんに苦笑しつつすべての涙を拭き終えて腕を下ろす。その頃にはもう通行人の興味も薄れたのか注目を浴びることもなくなってほっと一息をついた。
「島に降りる時にあんまり目立たないようにね、ってナミちゃんに言われたの忘れた?」
「そんな! おれがナミさんのお言葉を無視するなんてことあるわけ」
「すごい目立ってたよ」
「ゔっ」
レディのお願いは絶対厳守はきっと本心で、目立つつもりなんて一切なかったんだろうけどそれでも結果的に目立ってたのは事実だから呆れつつ言えば胸を押さえて呻いた。まあサンジくんは顔は割れてないし、変な人として目立つだけで麦わらの一味とバレるわけではないから言い含めなくたっていいのはわかってる。わかってるけど悪目立ちしないに越したことはない。
「この島にいるときはナンパは禁止」
「え゛っ」
この世の絶望を全て背負ってしまったかのようなサンジくんの表情に思わず笑って思い浮かんだ提案を口にする。
「代わりになれるかはわからないけど、そのかわりこの島にいる間は私が付き合ってあげるからナンパは我慢できる?」
「えっ!!」
どんよりしていたサンジくんの雰囲気が一瞬で晴れ渡ってまるで太陽を直接目視したかのような眩さに思わず目を細める。サンジくんがこの代案を喜ばないわけがないとはわかっていた。女の人なら誰だって本気で大好きなサンジくんなんだから。だけど想像以上に、というか、はじめて見るはしゃぎように思わず浮かんだ笑顔も引っ込んでたじろいでしまう。めろりんと目をハートにして、レディがお相手してくれるの嬉しいなァ、とくねくね動いて船上にいる時のようにいつも通りでれでれするだけだと思っていたのに、きらきら輝く瞳で純粋に喜んではしゃぐ様ははじめてで戸惑う。
「ほんとに?!」
「え、あ、うん、大人しくできるなら、」
「ずっと?!」
「え、うん、え、ずっ、?」
「やったー!」
ずっと、って何? この島にいる間はずっと、だけど、なんだか輝く笑顔の眩さに意味がわからなくなってしまう。サンジくんの勢いに呑まれて思わず頷いてから首を捻るもその頃には両手を広げて道を駆け回る背中しか見えなくてぽかんと口を開く。「おいそこのジジイ聞いてたか?! レディがおれとずっと一緒にいてくれるんだってよ!!」「よかったなあ」「マドモワゼル聞いた?! ずっとだよ?!」「よかったねえ」わーーい、と駆け回るサンジくんがそこかしこで手当たり次第に話しかけ喜び回る姿を呆然と見つめる。あれ、私、この島にいる間は、って言ったよね? 待って? なんだかサンジくんの中で大きな勘違いを生んでない? そもそも悪目立ちしないようにと提案したはずなのに、わーいわーいと喜び駆け回りみんなに話し掛けて騒ぐ様は、大の男の人が地面に這いつくばって泣いていたさっきなんかよりよっぽど目立ち騒ぎになっていてどうすればいいのかわらなくて頭を抱えた。
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