タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/10


 ナミちゃんに勧められた小物屋さんで満足しきって出てきた瞬間、所在なげに突っ立っていたゾロを見つけて思わず笑う。ここの通りは女性向けの店が細々と立ち並んでいて、ゾロが楽しめる酒屋と鍛冶屋もない。三本の刀を腰にさして控えめに言っても優しそうとは言えない強面の男が女性ばかりのゾーンに立っていれば当たり前のように遠巻きにされてそこだけ台風の目の静けさが訪れている。ばち、と目が合った瞬間眉を顰める姿に、それが気まずさから来ているとは知らない女の人達から緊張感が伝わってきて慌てて駆け寄った。大丈夫です、見た目はこんなだけど優しいんです。迷子になった不安から仏頂面に磨きがかかってるだけで害はないです。そんなことを心の中で言い訳しながらゾロと対面すれば、それが伝わったのかぴんと張り詰めた緊張の糸が解けて私もほっとする。なんだ、付き添いだったのね、そんな視線を受けながらいまだに気まずそうにきゅっと口を引き締めるゾロに微笑みかけた。

「また迷子?」
「……迷子じゃねェ」

 答えの分かりきってる質問には自覚のない迷子の形だけのぶっきらぼうな否定を返しながら私が持っていた荷物を掠め取って荷物持ちをしてくれる。

「今日はどこに行きたかったの?」
「……だから、迷子じゃねェし」

 不貞腐れたように呟く大剣豪に喉を鳴らして笑いながら、これ以上迷子にならないように荷物を持っていない方の手を掴んだ。

「鍛冶屋は行けた?」
「……ウソップと行った」
「じゃあお酒か〜」

 ふんふん頷きながら事情聴取をして歩みを進めて考える。鍛冶屋かお酒、ゾロの行きたいところはシンプルにそのふたつだけ。鍛冶屋が済んでるならあとはもうお酒だけ。おしゃれな喫茶店やBARはこの通りにもあるけど、きっとゾロには物足りない。ロビンちゃんに聞いた近付かない方が良い治安の悪い場所辺りならゾロの望むお酒屋さんがある気がするけど、手を繋いでいるとはいえいつはぐれてしまうかもわからないゾロとそこへ足を踏み入れる勇気はない。絶対はぐれないならそこに案内しても良いんだけど、ゾロだし。うーん、と悩みながらいつもよりほんの少しだけ歩幅を緩めてくれるゾロを見上げる。ばち、と目が合って笑えば、迷子になった罪悪感なのかまた眉を顰めてきゅっと口を引き締めてしまった。毎回難しい表情をするけど、私は迷惑だと思ったことなんてないからそんなに気まずそうにしなくたっていいのに。