タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
これのゾロ視点
2022/05/10


「また迷子?」
「……迷子じゃねェ」

 仕方ないなあ、と呑気に笑う姿に追い剥ぎのように荷物を掻っ攫う。もとよりお人好しなこいつがおれを視界に入れて別れる思考回路にならないことはわかっていても、こうして人質ならぬ物質を取ればお前は迷子になっていると思っているおれを保護せざるを得ない。迷子じゃねェけど。島に降りるたびに約束もしていないのに出くわすのを何回繰り返せばこいつは迷子じゃねェと信じるんだ。

「今日はどこに行きたかったの?」
「……だから、迷子じゃねェし」

 おれが迷子だと信じて疑わない質問に眉根を寄せても笑われるだけだし、挙句手を繋がれる。こいつの目にはおれが五歳児か何かに見えてるんだろうか。そうだとしたらこいつはおかしい。五歳児を酒場に案内しようとするな。事情聴取のようなやりとりに満足したのかおれを引っ張り歩きながら見上げて頬を緩める姿に口を引き締める。じゃないと余計なことを言ってしまいそうだった。
 迷子じゃないと何度言っても信じないこいつに、おれの腹巻きの中にある紙きれを見せたら信じるのか、とか。酒場や鍛冶屋に行きたくてここに迷い込んだ訳じゃない。ビブルカードの導きでお前のもとへ辿り着いてるんだ。そう言えばお前は信じてくれるのか。酒場や鍛冶屋は関係ない。ただお前といたいだけだ、なんて、それだけならまだしもビブルカードを使ってまでの執着はこの笑顔を曇らせるだけだ。偶然の好意だけならまだしも、さすがにただの付き纏いでしかないこの行為は気持ち悪がられるだろうことは理解している。だから迷子じゃないと事実は言いつつもむっつりと黙り込むしか術はなかった。