タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/12
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「きみがすきです」
レディの声が紡いだ言葉にとろける暇なんてなかった。だってそれは、他の男からもらった手紙を読み上げただけの声。ただ読み上げただけの熱のこもっていない音に、よかった、とほっとしたのも束の間、ぼんっと音を立てたかのように首まで真っ赤に顔を染めたレディに目を見開く。
「は、はひ、ら、らぶれたーだ……!」
私宛であってる?と開けた封筒をひっくり返して確認したレディの表情は真っ赤に熟れていて熱そうで、さっと血の気が引いて真っ青になったおれとは正反対に美味しそうに茹で上がっていた。たった七文字で、レディを美味しく料理した見知らぬ男。何度も何度もその七文字を視線で追って、宛名も確認してその度にレディの柔い肌が赤く染まっていく。目の前におれが立っているのに、おれのことを忘れられている感覚にぞわりと鳥肌が立ってレディを呼ぶ。呼んだのに、こっちを向いてくれなかった。もう一度、呼ぶ。まつげを震わせて瞬いた拍子にレディの視界におれが映ってほっとした。
「……おれも、レディのことがだいすきだよ」
「ありがとう」
どうしようどうしようと狼狽えていたレディが、えへ、と嬉しそうに笑って受け止めてくれる。ありがたいことに嫌がられたことなんて一度もない。だけどおれの言葉でレディが真っ赤に熟れることも一度もなかった。一枚の紙切れに乗せられたたった七文字の言葉でレディはあんなにも真っ赤に顔を染めて狼狽えたのに。狼狽えるということは心に響いたということ。
嫌がられないことに浮かれて、馬鹿みたいな勘違いをしてた。嫌がられもしなかったけど、狼狽えることだってなかった。朝の挨拶を聞くようにただありがとうと受け止められる。
おれの言葉はたったの一度もレディに届いていなかった。
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