タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/13
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「ロビンちゃん」
名前を呼ばれて意識が浮上して、思わず笑った。だって、名前を呼ばれるまで起きなかった。今までなら、独りだった頃の私なら、名前を呼ばれる前に私に近付く人間の首は一瞬でへし折っていたのに。私より力がないとは言え他人と同じ部屋で寝泊まりすることになるなんて、少し前の私が聞いたらなんの冗談と鼻で笑い飛ばして信じなかったはず。名前を呼ばれるまで起きないほど深い眠りにつくなんて平和な日常が私に訪れるなんて、今でもたまに都合の良い夢かしらと思ってしまうくらい、幸せな仲間に受け入れてもらえた。眠りから覚めるたびに幸せを噛み締めるせいで、最近では実は朝に弱いとみんなに思われているのもくすぐったい。
幸せに浸りすぎて私の名前を呼んだきり声を上げないことにようやく首を傾げて半身を起こす。ベッドのそばで突っ立っている声の持ち主は俯いていて、闇の静けさで彼女の表情が読み取れない。
「起こしてごめんね、でも、」
「どうしたの」
何度か瞬きをして視界に慣れた瞬間、震える声が耳を滑って慌てる。彼女がまばたきをした拍子にこぼれ落ちた涙を慌てて指で拭いとって引き寄せた。簡単にベッドに上がり込んで私の胸元に引っ張られてくれた彼女はぐす、と涙をどうにか我慢しようとしていて苦しくならないように抱きしめる。いつも明るく私を照らしてくれている彼女が涙を流していて狼狽える。胸の中に閉じ込めながら索敵しても船の周りに敵は存在しない。とりあえず外敵がいないことに安心して花を散らしても、独りだった私は慰め方を知らなくて歯痒くなる。手はたくさん出せるけど、頭も背中もどこもかしこも撫でたほうがいいのかしら、それとも体全部で抱きしめるだけの方がいいのかしら。わからなくて結局ただ私の体一つだけで抱きしめて背中を撫でてあやすことしかできない。
「どうしたの、」
「ろ、ロビンちゃんが、いなくなる夢を見て」
ひぐ、と喉を引き攣らせて紡がれた言葉に撫でていた手が止まる。私の胸元に縋りつきながら喉を引き攣らせて泣く姿に、私の心臓が高鳴ったことを悟られないようにするのに必死で手が止まってしまった。だって、私が毎日幸せを噛み締めているのと同じくらいの熱量で、この子もただの夢の出来事を憂いて泣いてくれている。それが嬉しくて、だけどこの子が泣いているのにそれを表に出せばきっと怒られてしまうのが目に見えているから、うるさく高鳴る心臓と緩む頬を知られてしまわないようにたくさんの腕を生やして包み込む。嗚咽だけ聞こえていた声が私の腕に溺れて混乱し始めて濡れた声が鳴りを潜める。私の腕からもがき抜け出して混乱に目を白黒させながらも私と目を合わせたその瞳に涙はもう溢れていなくて、隠さなくて良くなった笑みを浮かべた。
「ろ、ろびんちゃ?」
「大丈夫よ、心配しなくても私があなたを離すわけないじゃない。今だって離れたくても離れられないでしょう?」
腕の檻に捕まったまま私を見上げる姿は愛らしくてもう一度溺れさせてみたくなる。悪戯心をおさえて微笑めば安心したように目を細めて笑い返してくれた。
「まだ起きるには少し早いわ、もう少し眠りましょう」
うん、と頷いた彼女を抱え込んだままもう一度ベッドへ体を沈める。離すわけないと聞いたばかりなのに自分のベッドへ戻る気だったのか不思議そうに瞬いた瞼に唇を一度落としておやすみなさいと囁いた。
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