タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/14


 おはよう、と笑いかけてくれるサンジくんにおはよう、と笑い返す。そんな些細なやりとりが幸せで思わずいつも頬が緩みに緩んでしまうけど、朝から元気にぐるぐるくねくね忙しいサンジくんが全てを台無しにして緩んだ頬も元通りになるから大丈夫。今日も私のとけた頬をそれ以上にでろでろにとけきったサンジくんがきゅっと引き締めてくれて、カウンターに座りながら差し出された寝起きのコーヒーを口に含めばすっかり目も覚めて一日が始まる。

「もったいないような、そのままの方がいいような」
「?」

 うーん、と考えていた言葉がそのまま口に出て朝から忙しなくとろけていたサンジくんが不思議そうに首を傾げる。私のことを気に掛けつつも目に浮かべたハートを抑えて今日の朝ごはんなのか手元の野菜を目にも留まらない素早さで楽しそうに切るサンジくんをじっと眺める。でもあの全てを台無しにしてしまうもったいない姿も、ただひたむきに料理を愛して楽しそうな姿もどちらもサンジくんたる姿でどっちがなくなってもサンジくんがサンジくんじゃなくなってしまうからやっぱりそのままのサンジくんが一番いいんだろうなと頷く。ひとり頷く私にもう一度不思議そうに首を傾けてからことんとカウンターに差し出された小さなお皿にはいちごが一粒乗っていて今度は私が首を傾げる。サンジくんを見上げれば火のついていないタバコを咥えながらにこにこしていた。

「ひとつ余っちゃったから食べてくれる? 野郎どもには内緒ね」

 ぱち、と瞬く私に気障にウィンクをしたサンジくんに笑う。天才コックさんが食材の管理を間違えて余らせるわけないのに。だけどその心遣いが健気で可愛らしくてくすくす笑ってしまう。そんな私を見て、あれ、滑った……?と気まずそうに頬を指でかく姿が愛おしくていちごを摘む前に腰を浮かせて手を伸ばす。ちょいちょい、と手招きをすれば不思議そうにしつつもすぐさま身を乗り出して顔を近づけるサンジくんの金色で丸っこい頭を両手でくしゃりとかき混ぜた。ぴゃっ、と謎の奇声を発したサンジくんを気にせず撫でに撫に撫で続けて、胸の内から溢れ出る愛しさが落ち着いたのを機にまた席に座る。奇声を上げてからすっかり固まったままのサンジくんを笑いながらW余っちゃったWいちごを一粒口の中に放り入れた。うん、美味しい。

  ▼▼

「サンジ今日寝癖すげえな」
「や、これは、……まあ、うん」

 ふわああ、と大きなあくびをしながら入ってきたウソップが朝の挨拶を私たちにしてからサンジくんを視界に入れて不思議そうに首傾げる。ウソップの質問にしどろもどろになるサンジくんが愛おしくてまた髪の毛をくしゃくしゃになるほど撫でてしまいたくなったけどパチンと目が合ったサンジくんの顔がいちご顔負けに真っ赤になっていたから我慢することにした。