タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
これの夢主視点
2022/05/15


「笑って、サンジくん」

 レディのお願い事は必ず聞いてくれるサンジくんは唐突な私の言葉にも、へら、と言葉通り笑ってくれる。だけど今日のサンジくんの笑顔は誰が見たって下手くそで思わず笑う。どんなに優しい人でもお世辞でもそれを素敵な笑顔とは視線を逸らさずに言えないそんなへたっぴな笑顔にくすくす笑ってしまう。引き攣った笑顔を貼り付けたままのサンジくんに、そんな顔をするくらいなら言えば良かったのに、と笑う。結婚しないで、と言えばよかったのに。

「ブーケはサンジくんに投げるから、ちゃんと受け取ってね」

 私の手の中の花束をほんの少し持ち上げてサンジくんに促す。レディのお願いを聞く忠実なロボットのように私の言葉に下手くそな笑顔を浮かべながら頷いていたサンジくんの目からぼろりと涙がこぼれ落ちた。泣くくらいなら、言えばよかったのに。

「レディはいま、し、あわせ?」

 泣いていることに気付いていないのか、言葉を詰まらせながらも尋ねられた言葉に首を捻る。首を捻った先で白く光る綺麗なドレスを着た私と、いつもの黒いスーツに身を包んだサンジくんが鏡に映った。白と黒。新婦とただの参列者。その正反対な姿に思わず笑ってぼろぼろと涙を流すサンジくんとまた目を合わせる。泣きながらも私のお願いを守り続けているのか奇妙に口角は上がったまま私の答えを待つサンジくん。

「そうでもないかな」

 きゅ、と蛇口を締めたようにサンジくんの涙が止まって、とうとう下手くそな笑顔が引っ込んで私ばかりが笑っている。

「どうして、」

 混乱に喘ぐような小さな声で疑問を投げつけられて、私の方こそ疑問を投げつけたかった。どうしてこうなる前に言わなかったの?

「レディが、し、しあわせに、なるなら、それなら、って、そう思ったのに、しあわせじゃ、ないなら、どうして、おれのほうが、レディをたくさん、わらわせてあげられる、のに」

 涙は止まったはずなのに震える声で言葉を詰まらせながら言われた言葉に頬を緩める。

「そんなこと言われてももう手遅れだよ」

 ひゅ、と息を呑んだサンジくんにまた喉を鳴らす。壁にかかった時計を見ればもうあと五分もしないうちにスタッフさんが新婦を呼びに来る時間で肩をすくめる。

「着る前に言ってくれたらよかったのに」

 そう言った瞬間、締まったはずの栓が壊れてしまったかのように涙が溢れたサンジくんに肩をすくめた。

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「うわサンジくん号泣じゃないどうしたの」「あんまりにも意気地がないものだからちょっと意地悪しちゃった」「? とりあえず本物の新婦は家族ごと船に乗せて避難は完了したわ。あとはロビンの合図で新郎一族をぶっ飛ばすだけよ、それまでどうにか偽物の花嫁だってバレないようにね」「はーい」