タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/19
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「今度は誰を助けたの?」
真っ暗闇にレディの声が届いて反射的に顔を向ける。だけどレディの顔は見えない。そりゃそうだ、今おれの目は使い物にならなくて、我らがドクターによって包帯で目を覆われている。目は見える。見えすぎるくらいだ。見えすぎて立っていられないほど使い物にならなくなったから光を遮って何も見ないようにしてる。見聞色すらぐちゃぐちゃだ。数キロ先で起きてることすらすぐそばで起きていることのように感じ取ってしまうから、何も見ないように、何も感じないようにつとめてただ保健室でぼんやりしている。愛しのレディが入ってきたことすら気付けなかったほど腑抜けているおれに呆れたけど、レディが来てくれたことが嬉しくて反省も彼方に吹き飛んで最早立つ勢いで寝転んでいた半身を起こした。
「今回は誰の代わりにこんなことになったの?」
じわ、と悲しみの感情が伝わって浮かれた心が地面に落ちる。
「また女の人? それともこども? 男の人?」
本当に優しいね、と耳に届く声はかぼそく濡れていて呆然とした。怒られることはいつものことだった。だけどいつも最後は笑って、でもそれがサンジくんだもんね、と肩をすくめてそれから、次から気を付けてね、と元気付けるようにおれの傷を覆った布を優しく撫でて保健室を後にして、こんなに、こんなに痛いほど悲しみをぶつけられたことなんてなくて。なかった、はず、で。
「それがサンジくんだもんね、」
しかたないね、と笑い声が聞こえる。なのにちくちくと突き刺さる、痛いほどの悲しみは、レディから向かってきていて混乱する。
「次からは気を付けてね」
ゆっくり休んで、そう笑う声が、指が、おれの目を覆う布を祈るように撫でて、おれの返事を待つことなくぱたんと保健室の扉が閉まった。痛みを感じるほど悲しい感情がほんの少し遠ざかって、息をすることを忘れていたことに気付く。ハッハッ、と忘れていた酸素を脳に届けるために荒くなる呼吸で胸が苦しくなってぎゅうっとシャツごと胸をおさえる。いたい。かなしい。つらい。見えすぎる目を、見聞色を、意識的に遮断しても尚伝わる感情に溺れてベッドに沈み込む。レディはいつも通りだった。いつも通りだったんだ、本当に。何も変わらない。おれが、馬鹿で間抜けで鈍感だっただけ。レディはいつもあんな風に苦しんでた。悲しんでた。痛がってた。心配してくれていたレディの心を、息をするのも苦しいほど痛めつけて粉々にしているのはおれだ。
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