タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/25


「いたたたたちょっとあの心臓掴むのやめてもらっていいです?」

 切り取られてしまった心臓は、deathの文字が彫られている指に握られている。赤ちゃんのおもちゃじゃないんですよ、手慰めににぎにぎしないでいただきたい。赤ちゃんじゃないんだからと口に出したら握り潰されそうで絶対に口には出せないけど、今のはだって本当に無意識だった。私が呻いて指摘した瞬間顔を上げて、しまった、って顔しましたもんね。それから手の中にある私の心臓を見つめて、やっちまった、みたいな顔に変化したのをばっちりこの目で見た。こわい、そのうちぐちゅっとされてしまいそうで。そもそもなんで心臓を取られているのかがわからなくてそれも怖い。

「いい加減返してくれません……?」
「どうしてだ」
「いや私の心臓だからですけど」
「……まあそれはそうだな」

 当たり前の発言でしかないのに、目から鱗、みたいに瞬かないでくれませんかね。

「お前のでも返したくねェ」
「イヤイヤ期ですか?」
「あ?」
「ごめんなさい」
「なんの謝罪だ」

 ちょっと怖くて反射的に。

「じゃあそのせめて交換にしていただけませんか」

 さすがに返してくれるだろうと言った言葉に顔を顰めて私の心臓を見下ろしたからホッとする。さすがにね。なんの目的だか存じ上げないけれど、私の心臓と元七武海まで上り詰めることのできる心臓の交換は割に合わなすぎるしようやく目を覚ましてくれる気配にずっとばくばく動いていた心臓も落ち着きを取り戻し始めた。
 ブン、と青い膜が発動していよいよ緊張も解けた、はずだったのに。すぽん、と抜け落ちたのは目の前で私の心臓を握ったままの男の心臓で、それに目を見開く間も無く投げつけられて慌てて受け取る。ばくばくと力強く動く生暖かい心臓が私の手の中にあって、目の前の男の手にも心臓がある。

「交換ならいいんだろ?」

 お前が言ったんだぞ、と言わんばかりの純粋な台詞にもうどうすることもできなかった。