タイトルを考えるのが死ぬほど苦手

 
2022/05/26


「……ほらよ、」
「え、なに、」

 ゾロが面倒そうに舌打ちをして地面にしゃがみ込んだから思わず必死に小走りで追いつこうと進めていた足を止める。急には止まれなくてしゃがみ込んでしまったゾロの横に並んでしまって、ゾロのしていることの意味を慌てて考えても何をすればいいのかがわからなくてとりあえず同じようにしゃがみこんだ。肩が触れ合うくらいの距離感でしゃがみあってゾロの顔がいつもより近くて少しだけ視線が戸惑いに彷徨ってしまう。ばっちり絡み合ったゾロの両目がまんまるく見開いて私も驚く。新鮮な表情に驚いたのも束の間、ぶはっ、と目を細めて破顔したゾロに今度は私が目を見開いた。え、何がそんなにおかしいの。ひいひい声を出して笑うゾロは戸惑うことしかできなくて眺める私の様子も加えて更におかしいのかゲラゲラ聞いたことのない笑い声をあげていてとうとう訳が分からなくなって困惑する。

「っはー、……ちげェよ、疲れたならおぶってやろうと思っただけなのに、お前が隣に並ぶから」
「え、……あ」

 ゾロは涙を滲ませながら時折笑いつつもようやく言葉を紡いでくれて瞬く。そういえば。そういえば、私はしゃがみ込んだ膝に両手を乗せてゾロを見上げていたけれど、ゾロは両手を後ろにしておんぶの形にしてくれていた。笑われた原因がわかれば途端に恥ずかしくなって顔が真っ赤に染まるのを自覚する。羞恥に何も言えなくなってしまって膝に顔を埋もれさせて赤いのを隠した。だって、馬鹿みたいだ。いくら疲れてたからってあんなわかりやすいポーズにどうして気付かなかったんだろう。ありがたく甘えておんぶを受け入れるよりも、自分の体力の無さを理解してるくせに馬鹿みたいなプライドを掲げて断るよりも、何よりもよっぽど恥ずかしい見当違いな行動にどんどん体温が上がっていく。恥ずかしくて顔を上げられない私の耳に、時々吐息が届いていまだにゾロのツボに入ってしまっていることがわかる。恥ずかしい。

「笑って悪かったよ、お詫びにおぶってやるから」

 私が気付かなかっただけで、もともとおぶってくれるつもりだったくせに。私が悪いのにそんな八つ当たりじみた思考回路が余計に恥ずかしくて勢いよく立ち上がる。お、と楽しげなゾロの声が聞こえたけど顔は見れない。だって恥ずかしい。そのまま顔を見ないで一歩下がって、ゾロの広い背中に勢いよく飛び乗った。ほんの少しでもふらつけば意趣返しになったかもしれないのに全くびくともしない上に、私の八つ当たりはまたゾロのツボを刺激してしまったのか楽しげな笑い声。