タイトルを考えるのが死ぬほど苦手
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2022/05/27
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「雨だ」
そう呟いた瞬間、私の視界が真っ暗になる。驚いたけど慌てる必要はない。だってこの真っ黒な色とタバコの匂いが鼻をくすぐって、その原因がサンジくんのスーツだということがすぐにわかったから。私を雨にさらさないように一瞬で布を被せてくれたサンジくんに思わず笑いながら片手を使ってほんの少しひらけた視界で見上げたやっぱりサンジくんが心配そうに私を見ていて、エスコートするように優しく手を引くサンジくんに大人しく着いていった。
「大丈夫? 濡れてねェ?」
ほんの少しの雨なら雨宿りができそうな葉が生い茂る木の下に辿り着いて、サンジくんが私の頭に被せてくれていたスーツを取って開けた視界に瞬く。私は少しも濡れていないけど、それを聞くサンジくんが濡れている。びちょびちょとまではいかないけれど、金色の髪から雫が伝い落ちる程度には濡れてしまっていて慌ててハンカチを差し出した。ハンカチじゃ全部の水滴を拭いきれないだろうけど、それでも少しはマシになるだろうから。レディのハンカチが汚れちまうよ、と慌てて後ずさろうとしたサンジくんには悲しげな表情を浮かばればすぐに少しだけ膝を曲げて頭を差し出してくれる。
「レディは濡れてない?」
「サンジくんのおかげでちっとも濡れてないよ、ありがとう」
「へへ、」
撫でるように拭かれるのが気持ちいいのか目を細めて笑うサンジくんにつられて私も笑う。
「でもまた次があるなら、」
「次も任せて! レディは絶対濡らさねェよ」
ふふん、と得意げに気合を入れるサンジくんの可愛さに思わずそれでもいいかな、と最後まで言葉を紡ぐのをやめようとしたけど綺麗な金糸からまた一粒雨が零れ落ちらのを見て揺らいだ気持ちが引き締まる。
「んーん、それじゃだめ」
「エッ」
「私だけじゃなくて、サンジくんも濡れないようにして。それが無理なら一緒に濡れよう?」
「エッでも、え、どう、どうやって」
本当に自分のことには無頓着で、全くかけらも思い付かない様子で狼狽するサンジくんに呆れる。ハンカチをしまって、サンジくんが小脇に抱えていた黒いスーツを奪い取った。エッ、とまた混乱し続けるサンジくんに思いっきり近寄って私たちだけの真っ暗な空間を作り上げる。ひとりでスーツを被せられていた時と違って少し狭くなった空間は雨からの防御力もほんの少し低くなってしまったけれど、このまま木の下から二人で駆け出しても髪に水が滴るほどの濡れは防げるはず。はわ、と空気を飲む音が聞こえてサンジくんを見上げる。真っ暗なはずなのにきらきら光って見えるのはサンジくんの綺麗な金色の髪が濡れて輝いているからかな。サンジくんの髪を濡らした小雨が止むのが先か、サンジくんが再起動するのが先かどっちになるのかな、なんて小さく笑った。
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